★★★★☆
あらすじ
家業の酒蔵を継いだ男は、子供二人に恵まれるも夫婦仲で悩んでいた。
人気ドラマの劇場版。116分。
感想
人気ドラマの劇場版だ。テレビの連続ドラマとスペシャルドラマは見ていたものの、内容はだいぶ忘れてしまっていたのだが、ちゃんと思い出せる親切設計となっている。ストレスなく見ることが出来た。
ドラマ放送から7年経ち、30代半ばとなった主人公らの物語が展開される。映画タイトルに「インターナショナル」とあるのは、映画化ということで大風呂敷を広げただけかと思っていたが、実際に内容も外国人が多く登場する国際的な内容となっている。
考えてみれば、日本人にとって外国人はいつの間にか身近な存在になった。あらゆる階層の人たちが、外国人と何らかの接点を持ちながら生活するようになっている。色んな意味で日本は敷居の高い国から気安い国になったということだろう。外国にルーツを持つ日本人も増えてきており、社会に多様性が生まれて良いことだ。昔から聞かされていた国際化のイメージとは全然違うものになっているが。
ネットで世界とつながるのが当たり前になったり、韓国企業に買収されたり、中国人客が貴重な収入源となったりと、変わりゆく環境の中で主人公らが奮闘する姿が面白おかしく描かれていく。また、待機児童の問題やコロナ禍の影響、LGBTQへの対応など、日本社会に横たわる様々な問題も多く取り上げられている。それを楽しいコメディに昇華していることに感心する。
途中から映画「ハングオーバー」のパロディみたいな展開となるのも面白い。だが今の日本では外国映画ネタはあまり伝わらないのだろうなとも思ってしまった。インターナショナルと言いながら、昔と比べたら日本人の外国映画への関心はめっきりと低下してしまった。もしかしたら今、外国映画を熱心に見ている人たちは、大昔のアニメ好きくらいのオタク的存在になっているのかもしれない。日本人の視野が狭くなったのか、ハリウッドが悪いのかは知らないが。
連続ドラマの中の一話分みたいな内容ではあるが、コンスタントに笑えて、そして社会問題についてもちゃんと考えたくなる映画だ。エンドロールで天国の父親とリモート会議する家族たちの様子にもほっこりとさせられる。
スタッフ/キャスト
監督 水田伸生
脚本 宮藤官九郎
出演
松坂桃李/柳楽優弥/安藤サクラ/仲野太賀/吉岡里帆/島崎遥香/木南晴夏/上白石萌歌/吉原光夫/でんでん/中田喜子/吉田鋼太郎/加藤清史郎/厚切りジェイソン/徳井優/佐久間由衣/手塚とおる/青木さやか/佐津川愛美/矢本悠馬/加藤諒
登場する作品