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「座頭市喧嘩旅」 1963

座頭市喧嘩旅

★★★★☆

 

あらすじ

 息絶える直前の瀕死の見知らぬ男に、若い女を助けるよう頼まれてしまった座頭市。シリーズ第5作。

 

感想

 遺言で託された若い女をめぐるいざこざと、侠客一家同士の争いの、二つのエピソードが絡み合いながらが進行する物語だ。

 

 盲目の座頭市が、ヤクザの出入りの助太刀を頼まれるのはすごい。だがもし同じ強さの人間が他にいたとしても、ハンディキャップがある分だけ彼の方がより強そうに見える気がする。それにインパクトもあるので、彼が味方にいるだけでいろいろとメリットは大きいのかもしれない。

 

 

 そしてただ強いだけでなく、人間味あふれる座頭市はとても魅力的だ。おいしい話には飛びついてしまうし、助けるべき女に欲望を覚え、鎮めるのに苦労している。煩悩を見せる彼は、何かと耐えることが美学とされがちな日本映画の世界では珍しい存在かも知れない。お金欲しさに彼が、助太刀のギャラを吊り上げようと交渉するシーンは面白かった。

 

 それから、幼い子供たちに付きまとわれ、彼がニコニコと楽しそうな顔をしていたシーンはとても印象的だったが、よく考えるとこれは子どもたちの残酷さを表していたと言える。子どもたちは彼のハンディキャップを面白がっていたわけだが、それが分かっていながら陽気に笑ってられる彼の姿には尊さを感じてしまった。聖と俗が入り混じった不思議な男だ。

 

 クライマックスは、彼を利用しようとする人たちを手玉にとるような展開で気持ちよかった。敵たちが地団太を踏んで差別用語を連発するのも笑えた。エンディングにキレがもうちょっと欲しかった気がするが、90分でサクッと見ることのできる気軽に楽しめる娯楽作品だった。

 

スタッフ/キャスト

監督 安田公義

 

脚本 犬塚稔

 

原作 「座頭市物語」 「ふところ手帖 (中公文庫)」収録


出演 勝新太郎/藤村志保/藤原礼子/吉田義夫

 

音楽 伊福部昭

 

座頭市喧嘩旅

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