★★★★☆
あらすじ
宇宙での船外活動中に大規模な事故に見舞われてしまった主人公。
感想
宇宙空間で事故に遭遇したサンドラ・ブロック演じる主人公が、様々な困難を乗り越えながら地球に戻ろうとする物語だ。しかし、そもそもの事故が起きた原因がひどい。宇宙空間ならではの予想できない未知の出来事が起きたのならあきらめもつくが、他国が不要となった人工衛星を破壊し、その破片が飛ぶことで連鎖的な事故が起きたというただの人災が原因だ。要らなくなったから破壊するというのはずいぶんと乱暴だが、こういう時の国際的なルールはないのだろうか。
なんとなく、昔の人は電車の窓からごみを放り投げていたという話を思い出した。今はもうそんなことをする人はまずいないが、宇宙空間に対してはまだまだそういうことをしてしまう意識でいるということか。
映画は船外活動から事故、そして主人公がそこから地球を目指すまでの様子が、まるでリアルタイムで行われているかのようにノンストップで描かれていく。宇宙に放り出されて孤独に漂う姿や少しずつ酸素がなくなっていく様子などは、刻一刻と映し出されているからこその臨場感がすごい。観ているこちらも息つく暇がなく、次々と出現する困難に主人公がどう立ち向かうのか、手に汗握りながら見守り続けることになる。
そしてこの映画には主人公と、その同僚を演じるジョージ・クルーニーの二人しか登場しない。ただの技師で予期せぬトラブルにオロオロする主人公に対して、彼女をサポートし続けるこのベテランの同僚がとてもカッコ良かった。普段から冗談を言ったり馬鹿話をしながら楽しそうに仕事をして、もう何度も来ているのに今だに宇宙や地球の眺めに感動している。そして危機になっても仲間を見捨てないし、絶望的な状況になったとしても自分のことよりも相手のことを最後まで気にかけている。常に人生のブライトサイドを見ていて、常に前向きな姿勢を失わない。とても頼もしい存在で中盤に再登場したときは嬉しかったが、でもさすがにそれは出来過ぎだろうと思っていたらちゃんとそれを分かった上での演出になっていたので安心した。
単純に宇宙でトラブルに遭遇した女性が困難を乗り越えて地球に帰還するという話だけでも十分に面白いのに、さらに彼女の抱えていた問題を描くことで、もう一つ映画に深みを与えているのは上手いプロットだった。危機を脱出するだけではなく、彼女自身もまた一つ人間的に成長することが出来た。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作/編集 アルフォンソ・キュアロン
出演 サンドラ・ブロック
(声)エド・ハリス
音楽 スティーヴン・プライス
撮影 エマニュエル・ルベツキ
編集 マーク・サンガー
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