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「0課の女 赤い手錠」 1974

0課の女 赤い手錠

★★★☆☆

 

あらすじ

 不祥事を起こし、警察の裏の仕事をすることになった元刑事の女は、誘拐された政治家の娘を救出するため、犯人一味に潜入する。

 

感想

 赤が好きなのか、女子だからなのか、主人公が所持する警察手帳も手錠も拳銃も、すべてが真っ赤だったのが面白かった。もうこれだけで無茶苦茶な映画だということが分かる。全てが過剰気味な劇画タッチで描かれる娯楽作品だ。

 

 

 ストーリーもかなりワイルドだ。出所直後の男が仲間と共に女を襲い、その女がたまたま政治家の娘だったからこれ幸いと身代金を要求し、誘拐事件に発展する。それに対して政治家の命を受けた主人公が、彼らの仲間に加わる振りをして救出を図ろうとするものだ。

 

 主人公は警察に追われる犯人の一人を助けたことで、一味への潜入に成功するのだが、他のメンバーにスパイと疑われ、激しい暴行や折檻を受ける。まず、助けたのにそんなことをされる意味が分からない。しかも、そんなことをされたのにそこに留まる主人公もまた意味が分からなかった。これでは逆に、彼女がスパイであることを証明してしまっているようなものだ。

 

 

 犯人たちは、身代金を受け取った後に、人質を解放することなく殺してしまうつもりでいるくらい極悪で、事件の間も民家に押し入って住人を暴行したり、仲間内で殺し合ったりするのだが、それを追う警察側もまた荒々しい。すぐに発砲するし、やられてしまった同僚は邪魔だとばかりに無造作に捨てる。犯人が放火した家に取り残された、身動きできない住人たちを助ける素振りもなかった。

 

 犯人の一人を捕えて拷問するシーンでは、水責め火責めに万力と、立て続けに激しく責めまくるので、それでは自白する暇もないだろうと可笑しかった。刑事を演じる室田日出男のいつものクセの強い演技は楽しめたが、政治家役の丹波哲郎が何度も見せる顔芸も面白かった。大物政治家という設定なのであまり動くことなくどっしりとしており、見せ場と言えば顔芸しかなかったのだろう。

 

 杉本美樹演じる主人公は、素っ裸で戦い、そのまま堂々としていた冒頭のシーンはカッコ良かったのだが、その後はほとんど活躍していない。犯人一味に潜入したのはいいものの、ただ暴行や折檻を受けつつ行動を共にしただけになってしまっていて物足りなかった。

 

 終盤のクライマックスに少し見せ場があったが、その後にあったシャブ漬けの人質を正気に戻そうと、刺激を与え続けるシーンが激しく厳し過ぎたせいで、盛り上がりが帳消しになってしまった感がある。

 

 あらすじだけ聞くとほぼAVと変わらないような、倫理観低すぎの物語で、かなり引き気味になってしまったが、それでも何も考えずに見るにはいい娯楽映画だ。疲れた時には重厚な文芸作品よりこちらに手が伸びるはずだ。最近はこういう無茶苦茶すぎて面白い映画と言うのはあまりないような気がするが、今はVシネがその役割を担っているのだろうか。今でもVシネがあるのかはよく分からないが。

 

スタッフ/キャスト

監督 野田幸男

 

原作 0課の女(1)裁きいぬ

 

出演 杉本美樹/郷鍈治/室田日出男/荒木一郎/岸ひろみ/団巌

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音楽 菊池俊輔

 

0課の女 赤い手錠 - Wikipedia

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