★★★☆☆
あらすじ
いつか付き合っている男が自分に飽きてしまうのではないかとの不安から、整形手術を受けた女。
感想
男に飽きられてしまうかもと不安になり、別人になるくらい整形してしまう主人公の心理が全く理解できない。容姿が理由で相手にもしてくれない、というのならまだ理解できるが、すでに付き合っているのに。
そして、フラれたくないからとそんな事をしたのに、彼の前から姿を消してしまう主人公。いつかフラれて、彼が別の誰かと付き合い始めるくらいなら、その別の誰かになってやれ、という事か。案の定、上手くいって別人として再び男と付き合い始める。
しかし、整形した彼女と付き合いながらも、前の彼女が忘れられないという男。主人公にとっては、変わらず思い続けてくれて嬉しいような、そんなことを言いながら今付き合っている自分は何なの?と腹立たしいような、複雑な気分だろう。でも、これは主人公の気持ちがひねくれすぎているとしか言いようがない。男にとっては、前の彼女にいくら思いを寄せても、相手にもうその気がなければどうしようもないわけで、あきらめて前に進むしかない。
そんな中、ついに真実を告げる主人公だが、当然、男は怒る。この後の展開が、頭がイカれ過ぎていて戸惑ってしまった。すべてが愛ゆえの、という事なのだろうが、正直、男が取った行動はそんなものより復讐、と言った方がしっくりくるような行動だった。男に色目を使いまくりながらも寸止めを繰り返す主人公も、なかなかのヤバさだ。
結局これは「絶対の愛」とかいうものを描いているのではなくて、二人の自信のなさを描いているだけのような気がした。整形手術がその象徴となっていて、自分に自信がないから別の人間になろうとする。自分を大切にしていない、とも言えるかも知れない。
ただ、整形を題材にしているからクレイジー感が際立つが、魔女に変身させられた、みたいなおとぎ話風にすれば、割と世界中でよくみられる普遍的な話になるといえばなるのかもしれない。
映画の中で、彫刻の森っぽくも、秘宝館っぽくもある印象的なオブジェがたくさん点在する場所が登場するのだが、茅島(モド)にある「ペミクミ彫刻公園」というところのようだ。ちょっと行ってみたくなった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作/編集 キム・ギドク
製作総指揮 鈴木径男
出演 ソン・ヒョナ/ハ・ジョンウ/パク・チヨン/杉野希妃/キム・ソンミン