★★★★☆
あらすじ
ゾンビが跋扈する世界で、自ら定めたルールに従い、孤独に生き抜いてきた大学生は、個性豊かな三人の男女と出会い、行動を共にするようになる。
ウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、エマ・ストーンら出演。シリーズ第1作。88分。
感想
ゾンビが跋扈する世界をたった一人で生き延びてきた主人公が、三人の男女と出会い、共に旅することになる。孤独に戦ってきたと聞くとランボーのような男を想像してしまうが、実際は家族とは疎遠で友達も恋人もいない、「ぼっち」だったというだけの大学生だ。しがらみが少ないと、ゾンビウィルスに感染する確率は下がる。そんな主人公が、友情と恋愛を経験する青春物語となっている。
ゾンビ映画でありながら、ゾンビは完全に日常の一部と化している。登場すれば粛々と倒すだけの存在に過ぎない。その光景は、いつの間にか騒ぐことなくマスクや消毒をして、淡々と過ごしていたコロナ禍の日々を覚えていれば、すんなりと腑に落ちるはずだ。
主人公が自ら作ったルールを守ったり、守らなかったりすることで生じる出来事が、ユーモラスに描かれていく。気の利いたセリフ回しや軽妙な展開に、素直に笑わされる。主人公の相棒となった中年男が、11歳の少女との会話がジェネレーションギャップで噛み合わず、何も知らない彼女に「それはガンジーを知らないって言うようなレベルだぞ」とツッコんだら、「ガンジーって誰?」と真顔で返されたシーンなどは、思わず吹き出してしまった。
クライマックス直前、ハリウッドに到着した四人は、せっかくだからとセレブの豪邸に泊まろうとする。誰の家に泊まるのかと思っていたら、まさかのビル・マーレイ邸で、もっと他にいるだろうとニヤニヤしてしまった。そして、ビル・マーレイ本人も登場し、ここからはビル・マーレイ・タイムと呼ぶにふさわしい展開となるのだが、最高に面白い。
「ゴースト・バスターズ」ネタがメインで、それを知らないと辛いかもしれないが、枯れた感じでジョークを繰り出す彼の佇まいは笑いを誘う。エマ・ストーン演じる女が、彼が退場する悲しい場面でもクスクスと笑ってしまい、「彼はツボだから」と言い訳していたが、これはコメディアン冥利に尽きる瞬間なのだろうかと、しばし考えてしまった。そして、その後は皆がさして彼の不在を気にかけていない様子にも、じわじわと来る。
クライマックスは遊園地でのゾンビとの戦いだ。それほどシリアスさはなく、コミカルにゾンビが倒されていく。相棒のゾンビ殺しの達人が、売店ブースに立て籠もったり、ジェットコースターに乗りながら戦う様子は、リアリティは度外視した楽しさと爽快感があった。主人公が恐れるピエロを倒し、思いを寄せる女性を救うラストも見事に決まっている。
上映時間が短く、気軽に楽しめる娯楽映画だ。主人公の相棒が終始こだわっていた「トウィンキー」なるものがどんなものか、よく分からなくてやや気になったが、美味しいお菓子とでも思っておけばいいのだろう。アメリカでは誰もが知る国民的なお菓子のようで、日本だと「うまい棒」のような存在だろうか。これも「ゴーストバスターズ」ネタにつながっている。
スタッフ/キャスト
監督 ルーベン・フライシャー
脚本/製作総指揮 レット・リース/ポール・ワーニック
出演 ウディ・ハレルソン/ジェシー・アイゼンバーグ/エマ・ストーン/アビゲイル・ブレスリン/アンバー・ハード/ビル・マーレイ
音楽 デヴィッド・サーディ
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