★★★☆☆
あらすじ
幸せに暮らしていた孤児院が、実は鬼の食用として出荷する「人間飼育場」であることを知った少女は、全員で脱出することを計画するようになる。119分。
感想
「人間飼育場」から仲間と共に脱出を図る少女が主人公だ。冒頭のわずか10分ほどで、楽園だと思っていた孤児院が実は飼育場であることに気づき、脱出を決意するまでを描く手腕は見事だった。
ただ、楽園じゃなかった、騙されてた、じゃあどうする?と、登場人物たちの切り替えが早過ぎるのは気になった。何年も信じてきたことが嘘だと分かったのだから、落ち込んだり絶望したり、傷ついたりと、なかなか現実を受け止められないはずだ。なかなか次の行動になど移れない。
ここだけで一本の映画になりそうなくらいだが、それを描きたかったわけではないので、そのあたりを省略したのは仕方がなかったのかもしれない。
主人公らは監視の目をかいくぐって、脱出の準備を始める。立ちはだかるのは北川景子演じる管理者と、渡辺直美演じる補佐役の女だ。メインとなるのは管理者なのだが、なぜかサブの補佐役の描き方の方が力が入っているのは不思議だった。渡辺直美を推したかったのか、中盤を盛り上げるキャラのつもりだったのか。ただ、彼女の挙動は子供が喜びそうではあった。
仲間の犠牲があり、無力感に襲われたりしながらも、主人公らはその裏をかいて見事に目的を果たす。今はいない仲間が皆に勇気と力を与え、成功に導くのは、心動かされるものがあった。
ただ冷静になってみれば、目下の敵は女性の管理者一人しかいないのだから、暴動を起こして吊るし上げてしまえば良かったのでは?と思わなくもない。中学生くらいの年齢なのだから寄ってたかってやれば余裕だっただろう。穏便に済ますのなら拘束するだけでも良かった。それからゆっくり逃げればいい。
そうしなかったのは、この管理者を本当の悪者にしたくなかった、というのがあるのだろう。だが、世の中に本当に悪い奴はいる。ぬるいなと思ってしまった。またこれが、彼女がヒールになり切れず、中途半端な存在になってしまっている要因にもなっている。
原作がそうなのだから当然なのだが、そのあたりも含めていかにも少年漫画的なストーリーだ。個人的にはもっと深みが欲しかったところだが、少年少女と、少年少女の心を持った大人向けの娯楽映画としては悪くない。
スタッフ/キャスト
監督 平川雄一朗
脚本 後藤法子
原作 約束のネバーランド 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
出演 浜辺美波/城桧吏/板垣李光人/渡辺直美/北川景子/松坂桃李*/三田佳子**
*友情出演 **特別出演
撮影 今村圭佑
