本
★★★★☆ あらすじ コロナ禍の緊急事態宣言が発令された社会で、保育園児の娘の面倒を見ながら仕事をするフリーランスの夫婦を描く表題作他、一編を収録。 感想 二編が収められた作品集だが、どちらもある夫婦が交互に語る形式になっているので、連作小説のよう…
★★★★☆ あらすじ 爆破事件の犯人を名乗る男が自首し、仕掛けた残り6つの爆弾の情報と引き換えにある要求をする。 カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの番外編。フランス文学。 感想 シリーズの主人公である警部が、6つの爆弾を仕掛け、いくつかの要求をす…
★★★★☆ あらすじ 城を失って没落し、商家に居候していた宇喜多家の長男は、やがて成長して浦上家に仕え、家の再興を目指す。 戦国大名、宇喜多直家を描く歴史小説。 感想 城を失って鞆の浦でひっそり暮らしていた宇喜多家を、備前福岡の商人が訪れるところか…
★★★★☆ あらすじ 若い女が拉致されたとの一報が入るも続報が全くなく、停滞する捜査に焦る警部たち。 カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ三部作の第2作目。フランス文学。 感想 主人公である警部が、拉致された女の行方を追う物語だ。連れ去られた目撃情…
★★★★☆ 内容 来年2026年は丙午(ひのえうま)。この年生まれの女性は、気性が激しく夫を食い殺す、という俗信がある。 過去のひのえうまの歴史を振り返り、また前回のひのえうま(1966年)生まれの女性がどのような人生を送っているのかを明らかにする。 感想…
★★★☆☆ 内容 ゲームやアニメ、日本語ラップなど、身近なものを言語学的に考察する言語学者による科学的エッセイ。 感想 ポケモンやメイド喫茶などを題材に、言語学を紹介していくエッセイだ。一般読者の興味の入り口となるようにアニメやゲームを取り上げてい…
★★★★☆ あらすじ 同級生との交流を通して過去を回想し、人生に思いを馳せる老人を描いた表題作ほか、全4編を収録。 芥川賞受賞作。 感想 最後に収められた「思想と無思想の間」は、戦前から戦後にかけて活躍した言論人の物語だ。最初はアナーキスト、次に共産…
★★★★☆ あらすじ 15年ほど前の宴会で行われた、愛の神「エロス」についてのソクラテスらによる議論の内容を、友人たちに披露する男。 感想 ソクラテスらによる愛の神「エロス」についての議論が展開される。なんとなく「エロス」の定義が曖昧で、それぞれがど…
★★★★☆ あらすじ 異常で猟奇的な殺人事件が発生し、捜査を進めていた警部は、犯人が犯罪小説を模倣していることに気付く。 カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ三部作の第1作目。原題は「Travail soigné」、英題は「Irène」。フランス文学。 感想 主人公の…
★★★★☆ あらすじ ヴィクトリア朝京都で名を馳せる探偵、シャーロック・ホームズは、スランプに陥っていた。 感想 京都を舞台にしたシャーロック・ホームズものだ。ホームズの自宅兼事務所はベイカー街221Bではなく寺町通221Bに、京都警視庁と書いて「スコット…
★★★☆☆ 内容 58冊の本と数百本の論文を執筆した社会学者、ニクラス・ルーマンのメモ術「ツェッテルカステン」を紹介する。 ニクラス・ルーマン - Wikipedia 文庫化の際に「メモをとれば財産になる」に改題。 感想 驚異的なアウトプットを生み出せるメモ術「ツ…
★★★★☆ あらすじ 盗まれた宝石をホームズが犯人から取り戻そうとする「マザリンの宝石」など、12の作品を収めた短編集。 「シャーロック・ホームズ」シリーズの第9作目。 感想 シリーズ最後の作品だ。どの短編も、誰かが殺されてその犯人を捜す、といった単…
★★★★☆ あらすじ 人類初の火星探査の偉業を成し遂げたチームの一員だった日本人宇宙飛行士の男は、宇宙滞在中に起きた事件が原因で浮かない日々を過ごしていた。 感想 火星から戻って来た宇宙飛行士が主人公だ。偉業を成し遂げ、世界中で持て囃されているのに…
★★★★☆ あらすじ 同人誌に書いた小説が純文学雑誌に転載されたことがきっかけで、小説家として歩み出した男。 急逝のため未完となった西村賢太の遺作。 感想 中卒でもてない男が主人公だ。どこまで事実に忠実かはともかく、私小説なので著者自身のことだと考…
★★★☆☆ あらすじ 第一次世界大戦直前にドイツのスパイと対峙するホームズを描いた表題作など、全7編を収録した短編集。 「シャーロック・ホームズ」シリーズの第8作目。 感想 最後に収められた「最後の挨拶」は、ホームズが最後に取り組んだ事件だ。最終回…
★★★☆☆ あらすじ 余生を過ごしていた男は、富士山麓の精神病院で、演習学生として過ごした若き日々の手記を書き始める。 表紙画は片岡球子の「富士」。 ミュージアム甲斐ネットワーク公式サイト:【イベント】「山々に魅せられた画家たち」 感想 戦時下の精神…
★★★★☆ 内容 最新科学の知見に基づき、脳だけでなく体や環境、他者を使って効率的に能力を高める方法を紹介していく。 感想 勉強したり仕事をしたりするとき、我々はいかに脳のパフォーマンスを上げるかばかりを気にしている。だが実際は、脳の外にあるものを…
★★★☆☆ あらすじ 心を病んで療養中だった女が、ある朝突然いなくなってしまったことが明らかになる。 感想 ある朝、女が突然いなくなってしまったことから始まる物語だ。なぜそんなことが起きたのか、その過去が明らかになり、そしてその後が描かれていく。映…
★★★★☆ 内容 スーパーマンの能力を手に入れた冴えない中年男の活躍を描く「中年スーパーマン佐江内氏」と、ループする人生に気付き、最良の人生を手に入れ、そこから抜け出そうとする漫画家を描く「未来の想い出」の2つの作品を収録。 スーパーサラリーマン…
★★★★☆ あらすじ 地方の堀で囲まれた大邸宅で主人が殺され、シャーロック・ホームズとワトスンは真相解明のために現地に向かう。 感想 前半は、外部からの侵入が難しい大邸宅で起きた殺人事件の捜査が描かれる。暗号解読や偽装など、シリーズの過去の短編の内…
★★★★☆ あらすじ 終戦間際に知り合った男から罪の告白を聞かされ続ける肉屋の男を描いた表題作他、全3篇を収めた作品集。 感想 表題作は、今は肉屋の在日朝鮮人(明言はされないが)の男が主人公だ。終戦直前に知り合った男との20年に渡る奇妙な関係を描いて…
★★★★☆ 内容 村上春樹がデビュー以来、様々な場所で発表するも単行本に収録されることのなかった文章を集めたもの。 感想 一番最初に収められている「自己とは何か(あるいはおいしい牡蠣フライの食べ方)」にいきなり感心させられた。これは知り合いの思索家…
★★★☆☆ あらすじ 死んだとされていたホームズがワトソンの前に現れる「空き家の冒険」など、全13編の短編を収録。 別邦題に「シャーロック・ホームズの帰還」「シャーロック・ホームズの復活」など。 感想 死んだはずのホームズが戻ってくるところから始まる…
★★★★☆ あらすじ 大学の事務員として働く男は、かつて関係のあった女性の訃報を受け取ったことがきっかけで、戦時中に徴兵忌避者として日本中を旅したことを回想するようになる。 感想 大学事務員として働く中年の主人公の現在と、徴兵を拒否して全国を逃亡し…
★★★☆☆ 内容 開高健の厳選したエッセイを集めた作品集。 感想 開高健については、小説を一冊読んだことがあるくらいで、あとはなんとなくのイメージで知っている程度だった。ベトナム戦争や釣りのルポをしていたことは知っていたので、活動的で体育会系寄りな…
★★★★☆ あらすじ 先代がバスカヴィル家に伝わる伝説の魔犬によって殺されたのではと恐れる相続人に、真相究明を依頼されたシャーロック・ホームズ。 コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズの長編第三作目。別邦題に「バスカービルの魔犬」「のろいの魔…
★★★☆☆ あらすじ 飛沫感染により他人の未来が見える能力を持つ男性教師は、教え子が列車事故に巻き込まれるのを回避させたところ、その父親に興味を持たれ、やがてテロ事件に巻き込まれていく。 伊坂幸太郎著。 感想 飛沫感染により相手の翌日の、最も印象的…
★★★★☆ あらすじ 忘れられた炭鉱の町の異様な歴史を物語る表題作など、野坂昭如の中短編を収めた作品集。 副題「骨餓身峠死人葛」の読みは「ほねがみとうげほとけかずら」。 感想 収録作品の中で強烈なインパクトを残すのは、表題作の「骨餓身峠死人葛」だ。…
★★★★☆ あらすじ シャーロック・ホームズとモリアーティ教授の死闘が描かれる「最後の事件」など、ホームズの活躍12編を収録した短編集。 別邦題に「シャーロック・ホームズの思い出」「回想のシャーロック・ホームズ」。原題は「The Memoirs of Sherlock H…
★★★★☆ あらすじ 作家である女は、大学受験を控えた娘、かつての同僚の友人、最近知り合った若い男など、様々な人々と関わり合いながら日々を過ごしている。 感想 40代の作家の女が主人公だ。娘や友人とカラオケを楽しみ、知り合った若い男と一緒に映画館へ行…