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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

小説

「変半身」 2019

★★★☆☆ あらすじ 島伝統の祭りで行われる秘密の儀式に参加させられた主人公は、式の途中で仲間と共に逃げ出すことに成功する。タイトルの読みは「かわりみ」。表題作のほか「満潮」も収録。 感想 なんとなく横溝正史もののような、日本の古い因習を題材にした…

「アメリカの鱒釣り」 1967

★★★☆☆ あらすじ アメリカの鱒釣りにまつわるいくつかの物語。 感想 数ページで終わるような短い話が幾つも収められている。各話はそれぞれつながっているような、つながっていないような関係性で、それぞれの物語自体も抽象的で分かりにくいものとなっている…

「もう生まれたくない」 2017

★★★☆☆ あらすじ ある大学に勤める女性とその周辺の人々の、東日本大震災直後からの三年間を描く。 感想 元Ⅹ Japanのタイジやスティーブ・ジョブス、桜塚やっくんなど、物語で描かれる期間の周辺に亡くなった有名人たちの名前がたくさん登場し、彼らの死に対…

「きみの鳥はうたえる」 1982

★★★★☆ あらすじ 友人と共同生活を送る主人公は、ある女性と親しくなり、やがて三人で過ごす事が多くなっていく。芥川賞候補作になった表題作と短編「草の響き」を収録。 感想 表題作は主人公とその恋人、そして友人の三人の関係を描いた物語。主人公は、友人…

「赤い魚の夫婦」 2013

★★★★☆ あらすじ 赤い魚のペアを飼い始めた出産間近の夫婦を描いた表題作など、5つの作品を収めた短編集。メキシコ文学。 感想 表題作をはじめ、すべての短編で魚や猫、蛇といった生き物が登場し、登場人物たちと生き物の姿がどこか重なるように描かれていく…

「黄金の服」 1989

★★★★☆ 内容 芥川賞候補作の2作品「黄金の服」「オーバー・フェンス」に、「撃つ夏」を加えた短編集。 感想 3つの短編集だが、職業安定所や入院病棟、そして夏休み中と、どの作品でも一般的な社会生活を送る人々とは隔絶した場所を舞台に、一時的にモラトリ…

「ポップ1280」 1964

★★★☆☆ あらすじ ポッツ郡で保安官を務める男は、自身の女性問題に苦慮している。 感想 序盤は主人公のキャラクターがつかめず混乱した。ものすごく優秀な保安官かと思っていたら、自分のことを優秀と思い込んでいるだけの無能にも見えてきて、やがては敢えて…

「フーガはユーガ」 2018

★★★☆☆ あらすじ 誕生日のある時間だけ互いのいる場所に瞬間移動する双子の物語。 感想 幼い頃から両親に虐待を受けて育った双子。なかなかしんどい状況だが、それでもあっけらからんとその事実を受け入れている主人公たちの態度には、何とも言えない切なさが…

「虚人たち」 1981

★★★☆☆ あらすじ 妻と娘がまったく別の案件で拉致されてしまった男。 感想 自分は小説の中の主人公だという事を自覚している人物が主人公。最初はその設定が分からないので、妙に回りくどい記述が多いなと不審に思っていたのだが、その仕組みが分かるとそうし…

「ギケイキ2 奈落への飛翔」 2018

★★★★☆ あらすじ 兄の頼朝と合流し、目覚ましい活躍で平家を滅ぼすも、兄に恐れられ疎まれるようになってしまった源義経。 感想 3年前に読んだ前作はほぼ内容を忘れてしまっていたが、今作では源義経が兄・頼朝と合流してから、兄に疎まれ都落ちするまでが描…

「動物農場」 1945

★★★★☆ あらすじ 農場主を追い出し、動物による動物のための生活を始めた農場の動物たち。 感想 自分たちから搾取する農場主を追い出し、動物のための自由で平等な社会を始めたはずが、結局は新たな独裁者が現れただけで、暮らしはより苦しくなってしまったと…

「ある男」 2018

★★★★☆ あらすじ 不慮の事故で亡くなった夫が別人に成りすましていたことが判明し困惑する女性から相談を受け、その男の素性を探ることになった弁護士。 感想 自分の結婚相手が名前や素性を偽っていたと知ったら間違いなく驚く。しかも偽名ではなく実在する赤…

「花筐」 2017

★★★☆☆ あらすじ 映画化された「花筐」を含む短編集。 感想 映画の「花筐/HANAGATAMI」を観てこの本を手に取ったのだが、映画は大体この原作に沿ったものだったのだなという印象だ。ただ映画では濃厚に感じられた戦争の気配はない。だが1937年に書かれた小説…

「こうしてお前は彼女にフラれる」 2012

★★★★☆ あらすじ 浮気しては何度もフラれる男の話。短編集。 感想 9つの短編が収められている。そのほとんどは、一人のドミニカ出身の男がメインで描かれ、兄は死期が迫る病身の身、母親は働きづくめという設定となっている。ただ最初はそれに全く気付かず、3…

「虐殺器官」 2007

★★★★☆ あらすじ 世界中で頻発する虐殺行為の首謀者を暗殺するのが目的の米国部隊に所属する主人公らは、必ずどの現場にも姿を現すある男を殺せないでいた。 感想 核爆弾が使用され、世界中で戦争やテロが頻発する近未来が舞台となっており、主人公は平和のた…

「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」 2007

★★★★☆ あらすじ ドミニカ系アメリカ人男性の短い人生とその家族の歴史。 感想 漫画やSF、テーブルトークRBGなどが大好きなオタクのドミニカ系アメリカ人男性の生涯が描かれる。小説の中には膨大な数の本や漫画、テレビ番組、映画やゲームなどが登場し、…

「赤頭巾ちゃん気をつけて」 1969

★★★★☆ あらすじ 大学受験を控えた男子高校生のとある一日。芥川賞受賞作。 感想 「ケーコート―」や「学校群」など、それが何を意味するのかよく分からない用語が出てきて時代を感じるが、その内容自体はじゅうぶん現代にも通じるいつの時代も変わらない若者…

「危険な関係」 1782

★★★★☆ あらすじ 自分を裏切った男に復讐するため、その婚約相手の若い女を手籠めにするよう友人である遊び人の男爵に依頼した侯爵夫人。書簡体小説。 感想 手紙だけで進行する物語。手紙の文章が妙に回りくどく、気を抜くと何を言っているのかよく分からなく…

「東京自叙伝」 2014

★★★★☆ あらすじ 明治維新から現代にいたる各時代に、東京の地霊が憑依した人物たちの物語。 感想 明治維新から現代にいたるまでの東京・日本の歴史が、時代ごとに6人の人物の目を通して描かれていく。東京の地霊が彼らに順に乗り移っているという設定で、彼…

「侍女の物語」 1985

★★★★☆ あらすじ 宗教国家となった近未来のアメリカで、支配者層の子どもを産む道具として生きる事になっていまった女性。 感想 タイトルからどことなく中世ヨーロッパの貴族社会を描いた物語なのかと想像していたが、近未来のディストピア社会を描いたSF小説…

「アジアンタムブルー」 2002

★★★★☆ あらすじ 恋人を失った悲しみから立ち直れない男。 感想 恋人を失った悲しみに打ちひしがれ、仕事にも行かずデパートの屋上で時間を潰す日々を繰り返す主人公。 そこで頭をよぎっているのは恋人との思い出だけでなく、これまでの人生の様々な出来事だ…

「地球星人」 2018

★★★★★ あらすじ 幼い頃につらい思いをし、社会にうまく適合できない女。 感想 物語は主人公の幼少期から始まる。母親や姉から邪険な扱いを受け、周囲を窺いながらびくびくして生きる主人公。最初は母親の行き過ぎた愛情が歪んだ形となって表れてしまっている…

「ホット・ロック」 1970

★★★★☆ あらすじ 外国大使から独立時に失った国の宝を取り戻すよう依頼された犯罪者たち。ドートマンダー・シリーズ第1作目。 感想 アメリカで行われている展覧会に出展されたエメラルドを盗み出すよう依頼された主人公たち。軽妙な会話やユーモアを交えなが…

「抹香町・路傍」 1997

★★★★☆ 内容 私娼窟・抹香町へ通う初老の独身男を描いた「抹香町」などを収録した短編集。 感想 著者の青年期から老年期までの各年代が描かれた私小説の短編が並んでいる。今までこの著者・川崎長太郎の作品は読んだことがなく、年甲斐もなく欲望に振り回され…

「湖畔の愛」 2018

★★★★☆ あらすじ 主人公が勤める湖畔のホテルで巻き起こる数々の騒動。 感想 巻末の解説で吉本新喜劇的と評されていたが、確かにあの舞台でやっていそうな物語である。同じ設定、同じキャラで繰り広げられる物語。抱腹絶倒というわけではないが、それなりに笑…

「昭和の犬」 2013

★★★☆☆ あらすじ 戦後に生まれた女性の犬との関わりを中心とした半生。直木賞受賞作。 感想 一匹の犬と飼い主の関係を描いた物語ではなく、その時々に主人公の身近にいた毎回違う犬との話が描かれていく。それは家で飼っている犬だったり、近所や下宿先で飼わ…

「見えない暗闇」 1995

★★★★☆ あらすじ 妻の浮気相手に暴力を振るい、殺してしまったかもしれないと怯える男。 感想 世の中、みんな分かったような顔をして歩いているが、その実、知っている事なんてごくわずか。日々やっている事のほとんどは全く合理的でなかったりする。妻に浮気…

「ガラスの街」 1985

★★★☆☆ あらすじ 間違い電話をそのまま受けて、探偵の仕事を引き受けることになった作家の男。 感想 虐待していた父親が自分を殺しに戻って来るので助けて欲しい、という間違い電話の依頼をそのまま受けてしまった主人公。主人公は家族を失って絶望し、人との…

「シンコ・エスキーナス街の罠」 2016

★★★★☆ あらすじ 政治が腐敗し、テロがはびこるフジモリ政権下のペルーで、スキャンダル写真で世間を騒がすことになった富豪。 感想 全然知らなかったが、ペルーでフジモリ氏が大統領に当選した時、次点だったのは、後にノーベル文学賞も受賞したこの本の著者…

「孤独の発明」 1982

★★★☆☆ あらすじ 父親の死後にその生い立ちを知ることになった男。 感想 2編からなる2部構成の物語。前半は、父親が死んだ後にその生い立ちを知った男の話。一緒にいても、いつも自分の心の殻に閉じこもっているようだった父親の、その原因を知ることになる…