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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

小説

「十二月の十日」 2013

★★★★☆ 内容 表題作を含む10の短編集。 感想 短いものもあるが、短編と呼ぶには長すぎるようなボリューム感の小説が収められた短編集。最初の2,3編くらいはあまりピンとこなかったのだが、それ以降から徐々に面白く感じるようになってきた。 中でも一番気…

「熱帯」 2018

★★☆☆☆ あらすじ なかなか筆のすすまない小説家の男は、かつて入手するも途中で紛失し読了できなかった不思議な本の存在を思い出す。直木賞候補作。 感想 「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」を意識した小説で、まずその複雑な物語の構造や多くの人によって…

「フライデー・ブラック」 2018

★★★☆☆ あらすじ 「ブラック・フライデー」セール時に凶暴化したショッピング客と店員との攻防を描いた表題作など、12の作品を収めた短編集。 感想 ループものや遺伝子操作により人間が最適化された近未来の世界など、SFぽい内容の短編が多い。以前に観た映画…

「青が破れる」 2016

★★★☆☆ あらすじ ボクサーの男は、難病で余命いくばくもない恋人の見舞いに行く友人に付き合わされる。他2編。 感想 表題作は、難病の恋人を持つ友人の見舞いに主人公が付き合わされたことから始まる物語。ボクサーでもある主人公の朴訥というか不器用な性格…

「葬送」 2002

★★★★☆ あらすじ ショパンとドラクロワの友情を中心に、ショパンが亡くなるまでの数年を描く。 ドラクロワ・「フレデリック・ショパンの肖像」 プリキャンバス複製画・ ギャラリーラップ仕上げ(8号サイズ) プリキャンバス Amazon 感想 文庫本で4冊、登場人物…

「ケロッグ博士」 1993

★★★☆☆ あらすじ コーンフレークを開発したケロッグ博士と、彼の経営するサナトリウム周辺に集まった人々の人間模様。 ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ - Wikipedia 感想 何かの本で、ケロッグ博士は性欲を減退させるためにコーンフレークを開発したという話を…

「インド夜想曲」 1984

★★★☆☆ あらすじ 消えた友人を探しにインドにやってきた男。イタリア文学。 感想 インドに渡り友人を探す男が各地で様々な人々と出会い、言葉を交わす。「夜想曲」というタイトル通り、どのエピソードもどこか夢の中のように曖昧でぼんやりとしたものばかりだ…

「家族シネマ」 1997

★★★☆☆ あらすじ 売れない女優の妹のために、ばらばらの家族が一緒になってドキュメンタリー的映画に出演することになる。芥川賞受賞作。他2編。 感想 家族と撮影スタッフが突然やって来て、いきなり映画撮影に参加させられることになってしまった主人公。も…

「2001年宇宙の旅」 1968

★★★☆☆ あらすじ 直方体の謎の物体モノリスの登場により目覚ましく進化した人類は、新たに月に現れたモノリスに導かれるように土星を目指す。 感想 先日久しぶりに映画の「2001年宇宙の旅」を見て、やっぱりよく分からないなとモヤモヤする部分があったので、…

「誓願」 2019

★★★★☆ あらすじ クーデターにより宗教国家となったアメリカを、三人の女性の目を通して描く。1985年の小説「侍女の物語」の続編。 感想 前作から35年後に出た続編。前作は一人の女性の視点だけで描かれていたので宗教国家の限られた一面しかわからなかったが…

「1R1分34秒」 2019

★★★★☆ あらすじ デビュー戦勝利の後、連敗を続けるプロボクサーは、新しいトレーナーを迎えて次の試合に挑む。芥川賞受賞作。 感想 何かを始める時に、自分には才能がないと思いながら始める人はいない。少なくとももしかしたらイケるかもという淡い希望くら…

「ハーモニー」 2008

★★★★☆ あらすじ 核戦争後に生まれた互いを慈しみ合う社会。幼少時からそんな社会に息苦しさを感じていたWHO螺旋監察官の女は、世界各地で同時多発的に起きた自殺事件の真相を探り始める。 感想 まずetml(Emotion-in-Text Markup Language)という架空のマー…

「変半身」 2019

★★★☆☆ あらすじ 島伝統の祭りで行われる秘密の儀式に参加させられた主人公は、式の途中で仲間と共に逃げ出すことに成功する。タイトルの読みは「かわりみ」。表題作のほか「満潮」も収録。 感想 なんとなく横溝正史もののような、日本の古い因習を題材にした…

「アメリカの鱒釣り」 1967

★★★☆☆ あらすじ アメリカの鱒釣りにまつわるいくつかの物語。 感想 数ページで終わるような短い話が幾つも収められている。各話はそれぞれつながっているような、つながっていないような関係性で、それぞれの物語自体も抽象的で分かりにくいものとなっている…

「もう生まれたくない」 2017

★★★☆☆ あらすじ ある大学に勤める女性とその周辺の人々の、東日本大震災直後からの三年間を描く。 感想 元Ⅹ Japanのタイジやスティーブ・ジョブス、桜塚やっくんなど、物語で描かれる期間の周辺に亡くなった有名人たちの名前がたくさん登場し、彼らの死に対…

「きみの鳥はうたえる」 1982

★★★★☆ あらすじ 友人と共同生活を送る主人公は、ある女性と親しくなり、やがて三人で過ごす事が多くなっていく。芥川賞候補作になった表題作と短編「草の響き」を収録。 感想 表題作は主人公とその恋人、そして友人の三人の関係を描いた物語。主人公は、友人…

「赤い魚の夫婦」 2013

★★★★☆ あらすじ 赤い魚のペアを飼い始めた出産間近の夫婦を描いた表題作など、5つの作品を収めた短編集。メキシコ文学。 感想 表題作をはじめ、すべての短編で魚や猫、蛇といった生き物が登場し、登場人物たちと生き物の姿がどこか重なるように描かれていく…

「黄金の服」 1989

★★★★☆ 内容 芥川賞候補作の2作品「黄金の服」「オーバー・フェンス」に、「撃つ夏」を加えた短編集。 感想 3つの短編集だが、職業安定所や入院病棟、そして夏休み中と、どの作品でも一般的な社会生活を送る人々とは隔絶した場所を舞台に、一時的にモラトリ…

「ポップ1280」 1964

★★★☆☆ あらすじ ポッツ郡で保安官を務める男は、自身の女性問題に苦慮している。 感想 序盤は主人公のキャラクターがつかめず混乱した。ものすごく優秀な保安官かと思っていたら、自分のことを優秀と思い込んでいるだけの無能にも見えてきて、やがては敢えて…

「フーガはユーガ」 2018

★★★☆☆ あらすじ 誕生日のある時間だけ互いのいる場所に瞬間移動する双子の物語。 感想 幼い頃から両親に虐待を受けて育った双子。なかなかしんどい状況だが、それでもあっけらからんとその事実を受け入れている主人公たちの態度には、何とも言えない切なさが…

「虚人たち」 1981

★★★☆☆ あらすじ 妻と娘がまったく別の案件で拉致されてしまった男。 感想 自分は小説の中の主人公だという事を自覚している人物が主人公。最初はその設定が分からないので、妙に回りくどい記述が多いなと不審に思っていたのだが、その仕組みが分かるとそうし…

「ギケイキ2 奈落への飛翔」 2018

★★★★☆ あらすじ 兄の頼朝と合流し、目覚ましい活躍で平家を滅ぼすも、兄に恐れられ疎まれるようになってしまった源義経。 感想 3年前に読んだ前作はほぼ内容を忘れてしまっていたが、今作では源義経が兄・頼朝と合流してから、兄に疎まれ都落ちするまでが描…

「動物農場」 1945

★★★★☆ あらすじ 農場主を追い出し、動物による動物のための生活を始めた農場の動物たち。 感想 自分たちから搾取する農場主を追い出し、動物のための自由で平等な社会を始めたはずが、結局は新たな独裁者が現れただけで、暮らしはより苦しくなってしまったと…

「ある男」 2018

★★★★☆ あらすじ 不慮の事故で亡くなった夫が別人に成りすましていたことが判明し困惑する女性から相談を受け、その男の素性を探ることになった弁護士。 感想 自分の結婚相手が名前や素性を偽っていたと知ったら間違いなく驚く。しかも偽名ではなく実在する赤…

「花筐」 2017

★★★☆☆ あらすじ 映画化された「花筐」を含む短編集。 感想 映画の「花筐/HANAGATAMI」を観てこの本を手に取ったのだが、映画は大体この原作に沿ったものだったのだなという印象だ。ただ映画では濃厚に感じられた戦争の気配はない。だが1937年に書かれた小説…

「こうしてお前は彼女にフラれる」 2012

★★★★☆ あらすじ 浮気しては何度もフラれる男の話。短編集。 感想 9つの短編が収められている。そのほとんどは、一人のドミニカ出身の男がメインで描かれ、兄は死期が迫る病身の身、母親は働きづくめという設定となっている。ただ最初はそれに全く気付かず、3…

「虐殺器官」 2007

★★★★☆ あらすじ 世界中で頻発する虐殺行為の首謀者を暗殺するのが目的の米国部隊に所属する主人公らは、必ずどの現場にも姿を現すある男を殺せないでいた。 感想 核爆弾が使用され、世界中で戦争やテロが頻発する近未来が舞台となっており、主人公は平和のた…

「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」 2007

★★★★☆ あらすじ ドミニカ系アメリカ人男性の短い人生とその家族の歴史。 感想 漫画やSF、テーブルトークRBGなどが大好きなオタクのドミニカ系アメリカ人男性の生涯が描かれる。小説の中には膨大な数の本や漫画、テレビ番組、映画やゲームなどが登場し、…

「赤頭巾ちゃん気をつけて」 1969

★★★★☆ あらすじ 大学受験を控えた男子高校生のとある一日。芥川賞受賞作。 感想 「ケーコート―」や「学校群」など、それが何を意味するのかよく分からない用語が出てきて時代を感じるが、その内容自体はじゅうぶん現代にも通じるいつの時代も変わらない若者…

「危険な関係」 1782

★★★★☆ あらすじ 自分を裏切った男に復讐するため、その婚約相手の若い女を手籠めにするよう友人である遊び人の男爵に依頼した侯爵夫人。書簡体小説。 感想 手紙だけで進行する物語。手紙の文章が妙に回りくどく、気を抜くと何を言っているのかよく分からなく…