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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

小説

「ある男」 2018

★★★★☆ あらすじ 不慮の事故で亡くなった夫が別人に成りすましていたことが判明し困惑する女性から相談を受け、その男の素性を探ることになった弁護士。 感想 自分の結婚相手が名前や素性を偽っていたと知ったら間違いなく驚く。しかも偽名ではなく実在する赤…

「花筐」 2017

★★★☆☆ あらすじ 映画化された「花筐」を含む短編集。 感想 映画の「花筐/HANAGATAMI」を観てこの本を手に取ったのだが、映画は大体この原作に沿ったものだったのだなという印象だ。ただ映画では濃厚に感じられた戦争の気配はない。だが1937年に書かれた小説…

「こうしてお前は彼女にフラれる」 2012

★★★★☆ あらすじ 浮気しては何度もフラれる男の話。短編集。 感想 9つの短編が収められている。そのほとんどは、一人のドミニカ出身の男がメインで描かれ、兄は死期が迫る病身の身、母親は働きづくめという設定となっている。ただ最初はそれに全く気付かず、3…

「虐殺器官」 2007

★★★★☆ あらすじ 世界中で頻発する虐殺行為の首謀者を暗殺するのが目的の米国部隊に所属する主人公らは、必ずどの現場にも姿を現すある男を殺せないでいた。 感想 核爆弾が使用され、世界中で戦争やテロが頻発する近未来が舞台となっており、主人公は平和のた…

「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」 2007

★★★★☆ あらすじ ドミニカ系アメリカ人男性の短い人生とその家族の歴史。 感想 漫画やSF、テーブルトークRBGなどが大好きなオタクのドミニカ系アメリカ人男性の生涯が描かれる。小説の中には膨大な数の本や漫画、テレビ番組、映画やゲームなどが登場し、…

「赤頭巾ちゃん気をつけて」 1969

★★★★☆ あらすじ 大学受験を控えた男子高校生のとある一日。芥川賞受賞作。 感想 「ケーコート―」や「学校群」など、それが何を意味するのかよく分からない用語が出てきて時代を感じるが、その内容自体はじゅうぶん現代にも通じるいつの時代も変わらない若者…

「危険な関係」 1782

★★★★☆ あらすじ 自分を裏切った男に復讐するため、その婚約相手の若い女を手籠めにするよう友人である遊び人の男爵に依頼した侯爵夫人。書簡体小説。 感想 手紙だけで進行する物語。手紙の文章が妙に回りくどく、気を抜くと何を言っているのかよく分からなく…

「東京自叙伝」 2014

★★★★☆ あらすじ 明治維新から現代にいたる各時代に、東京の地霊が憑依した人物たちの物語。 感想 明治維新から現代にいたるまでの東京・日本の歴史が、時代ごとに6人の人物の目を通して描かれていく。東京の地霊が彼らに順に乗り移っているという設定で、彼…

「侍女の物語」 1985

★★★★☆ あらすじ 宗教国家となった近未来のアメリカで、支配者層の子どもを産む道具として生きる事になっていまった女性。 感想 タイトルからどことなく中世ヨーロッパの貴族社会を描いた物語なのかと想像していたが、近未来のディストピア社会を描いたSF小説…

「アジアンタムブルー」 2002

★★★★☆ あらすじ 恋人を失った悲しみから立ち直れない男。 感想 恋人を失った悲しみに打ちひしがれ、仕事にも行かずデパートの屋上で時間を潰す日々を繰り返す主人公。 そこで頭をよぎっているのは恋人との思い出だけでなく、これまでの人生の様々な出来事だ…

「地球星人」 2018

★★★★★ あらすじ 幼い頃につらい思いをし、社会にうまく適合できない女。 感想 物語は主人公の幼少期から始まる。母親や姉から邪険な扱いを受け、周囲を窺いながらびくびくして生きる主人公。最初は母親の行き過ぎた愛情が歪んだ形となって表れてしまっている…

「ホット・ロック」 1970

★★★★☆ あらすじ 外国大使から独立時に失った国の宝を取り戻すよう依頼された犯罪者たち。ドートマンダー・シリーズ第1作目。 感想 アメリカで行われている展覧会に出展されたエメラルドを盗み出すよう依頼された主人公たち。軽妙な会話やユーモアを交えなが…

「抹香町・路傍」 1997

★★★★☆ 内容 私娼窟・抹香町へ通う初老の独身男を描いた「抹香町」などを収録した短編集。 感想 著者の青年期から老年期までの各年代が描かれた私小説の短編が並んでいる。今までこの著者・川崎長太郎の作品は読んだことがなく、年甲斐もなく欲望に振り回され…

「湖畔の愛」 2018

★★★★☆ あらすじ 主人公が勤める湖畔のホテルで巻き起こる数々の騒動。 感想 巻末の解説で吉本新喜劇的と評されていたが、確かにあの舞台でやっていそうな物語である。同じ設定、同じキャラで繰り広げられる物語。抱腹絶倒というわけではないが、それなりに笑…

「昭和の犬」 2013

★★★☆☆ あらすじ 戦後に生まれた女性の犬との関わりを中心とした半生。直木賞受賞作。 感想 一匹の犬と飼い主の関係を描いた物語ではなく、その時々に主人公の身近にいた毎回違う犬との話が描かれていく。それは家で飼っている犬だったり、近所や下宿先で飼わ…

「見えない暗闇」 1995

★★★★☆ あらすじ 妻の浮気相手に暴力を振るい、殺してしまったかもしれないと怯える男。 感想 世の中、みんな分かったような顔をして歩いているが、その実、知っている事なんてごくわずか。日々やっている事のほとんどは全く合理的でなかったりする。妻に浮気…

「ガラスの街」 1985

★★★☆☆ あらすじ 間違い電話をそのまま受けて、探偵の仕事を引き受けることになった作家の男。 感想 虐待していた父親が自分を殺しに戻って来るので助けて欲しい、という間違い電話の依頼をそのまま受けてしまった主人公。主人公は家族を失って絶望し、人との…

「シンコ・エスキーナス街の罠」 2016

★★★★☆ あらすじ 政治が腐敗し、テロがはびこるフジモリ政権下のペルーで、スキャンダル写真で世間を騒がすことになった富豪。 感想 全然知らなかったが、ペルーでフジモリ氏が大統領に当選した時、次点だったのは、後にノーベル文学賞も受賞したこの本の著者…

「孤独の発明」 1982

★★★☆☆ あらすじ 父親の死後にその生い立ちを知ることになった男。 感想 2編からなる2部構成の物語。前半は、父親が死んだ後にその生い立ちを知った男の話。一緒にいても、いつも自分の心の殻に閉じこもっているようだった父親の、その原因を知ることになる…

「江分利満氏の優雅な生活」 1963

あらすじ 昭和30年代、電機会社に勤めるサラリーマン、江分利満(えぶりまん)氏の日常。直木賞受賞作。 感想 会社や仕事、社宅での暮らしや飲み屋の話など、平凡なサラリーマンの日常を綴ったエッセイのような小説。会社員だった著者が、日々の暮らしで思っ…

「日蝕・一月物語」 1998

★★★★☆ あらすじ 「月蝕」。舞台は中世ヨーロッパ。ある本を求めて旅に出た神学僧は、途中である村に住む錬金術師のもとをを訪ねる。芥川受賞作。 「一月物語」。熊野を旅する青年は、蛇に噛まれて山中の禅堂で療養していたが、そこで不思議な体験をする。 感…

「プレオー8の夜明け」 1970

★★★★☆ あらすじ 短編集。表題作は、敗戦後に戦犯としてサイゴン刑務所に抑留された主人公たちの日常を描く。芥川賞受賞作。タイトルの読みは「プレオ―8(ゆいっと)の夜明け」。 感想 従軍体験をした著者による戦争小説。読んでいると、実際に戦争に行った…

「われら」 1921

★★★☆☆ あらすじ 皆が同じようにして暮らす全体主義国家において、一人の女性に恋をしてしまった数学者。 感想 舞台は極度に合理化が進んだ社会。名前はなく皆が番号で呼ばれ、それぞれがいちいち何も考えなくて済むように、皆が同じ時間に起き、同じ服を着て…

「宇喜多の楽土」 2018

★★★★☆ あらすじ 五大老の一人として、豊臣政権を支えた備前岡山藩主・宇喜多秀家の生涯。 感想 宇喜多秀家は、秀吉に可愛がられてお気楽に過ごしていたのかと思っていたのだが、お家騒動があったりして大変だったのか。しかも、隣国で大国の毛利家とそれを警…

「くたばれインターネット」 2016

★★★☆☆ あらすじ とある講演の内容がネットにアップされた事により、炎上してしまった中年の女性漫画家。 感想 ネットでの炎上を扱った物語ということで、どのように炎上が起き、それに対してどのような対処をして鎮めていったのかというような事が描かれてい…

「臣女」 2014

★★★★☆ あらすじ 体が巨大化していく妻の世話をする男。 感想 巨大化する妻と献身的に世話をする男。不思議な設定で面白いのだが、少し困るのが女の巨人ぶりがうまく想像できない事。ガンダムだとかウルトラマンくらいのサイズだとテレビや映画で見ることが多…

「吾輩は日本作家である」 2008

★★★☆☆ あらすじ 編集者に次作のタイトルを「吾輩は日本作家である」にすると告げた作家。 感想 カナダに住む黒人作家が、次作のタイトルを「吾輩は日本作家である」と決めたことから始まる物語。タイトルを聞きつけた日本大使館の人物が接触を図ってきたり、…

「流」 2015

★★★☆☆ あらすじ 中国内戦で敗れて台湾に逃れてきた祖父を中心とした一家で育った青年。直木賞受賞作。 感想 70~80年代の台湾の若者の青春小説。この当時の日本と似たようなヤンキー的要素もありながら、そこに中国との関係や、国内の本省人と外省人という立…

「ホサナ」 2017

★★★☆☆ あらすじ ドッグランで出会った女に、犬好きの集まるバーベキューパーティーに誘われた男。 感想 著者名だけ見てネットで注文したら、届いた本があまりにも分厚くて若干怖気づいてしまった。同じ著者の「告白」と同じくらいの分厚さで、900ページ以上…

「日はまた昇る」 1926

★★★☆☆ あらすじ パリで暮らすアメリカ人の男は、仲間と共にスペインの祭りを訪れ、牛追いと闘牛を見物する。 感想 最初はユダヤ人の元ボクサーの男が主人公で、その友人が第三者の視線で語っていく話なのかと思っていた。序盤のしばらくはそんな雰囲気だった…