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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

小説

「血の収穫」 1929

★★★★☆ あらすじ 新聞社社長の依頼でとある街にやって来るも、依頼主が殺されてしまった探偵社の男は、悪が蔓延る街を一掃しようと決意する。 別邦題に「赤い収穫」。黒澤明の「用心棒」などその後の数多くの作品に影響を与えた作品として知られる。 感想 悪…

「地図と拳」 2022

★★★★☆ あらすじ 日露戦争に備えて満州へ諜報活動に向かった男は、道中で耳にした石炭が取れるらしい町の調査も行うことにする。 地図と拳 | 集英社 文芸ステーション 直木賞受賞作。 感想 男が通訳と共に満州へ諜報活動に向かうところから物語は始まる。この…

「夜を生き延びろ」 2021

★★★★☆ あらすじ 友人が殺されたことに責任を感じ、大学を辞めてライドシェアで実家に戻る女子大生は、乗り合わせた運転手が友人を殺した殺人犯でないかと疑い始める。 感想 大学の掲示板で募集したライドシェアの相手が、殺人鬼ではないかと疑い始める女子大…

「見るまえに跳べ」 1958

★★★★☆ あらすじ 娼婦と同棲するも、関係を持った受験生が妊娠したことをきっかけに部屋を出ていった大学生の男を描く表題作他、全10篇を収録した短編集。 感想 最初に収められた著者の処女作「奇妙な仕事」はインパクトがある。大学生の主人公が、病院の実験…

「ノー・カントリー・フォー・オールド・メン」 2005

★★★★☆ あらすじ 取引がこじれ、銃撃戦となって全員死んでしまったらしい現場から大金とドラッグを持ち逃げした男とそれを追う殺し屋、そして二人の行方を探す年老いた保安官。 別邦題に「血と暴力の国」。 感想 違法薬物の取引でトラブルになった現場をたま…

「槿(あさがお」 1983

★★★☆☆ あらすじ 中年の男は、定期的に訪れていた献血センターで若い女と知り合う。 感想 中年の主人公が、献血所で知り合った女と、久々に再会した同級生の妹、二人の女の奇妙な思い込みに振り回されてしまう物語だ。 序盤は著者独特の言い回しに慣れず、何…

「その昔、ハリウッドで」 2021

★★★★☆ あらすじ ピークを過ぎてドラマの主演ではなく敵役をするようになった俳優は、イタリア映画の主演オファーを受けるかどうかで悩んでいた。 著書自身が監督した映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のノベライズ作品。 感想 映画のノ…

「エタンプの預言者」 2021

★★★★☆ あらすじ 引退後に以前から気になっていた詩人に関する本を出版した元大学教授は、内容に批判的なレビューがネットに上がったことから、思わぬ炎上騒動に巻き込まれていく。 感想 あまり注目されないだろう地味な本を出版したところ、ネット炎上騒動の…

「大いなる陰謀」 1998

★★★☆☆ あらすじ 陰謀理論を教える大学教授の男は、シカゴの実家にいるはずの妻が、墜落したニューヨーク発ブラジル行きの飛行機に乗っていたとの連絡を受ける。 感想 ドラマ版の「ファーゴ」シリーズが面白かったので、そのショーランナーである著者の小説を…

「顔のない裸体たち」 2006

★★★★☆ あらすじ 普通の人生を送って来た女性教師は、出会い系サイトで知り合った男によって、今まで知らなかった世界へと導かれていく。 感想 自分の性的な写真や動画をインターネット上にアップしていた女の物語だ。これだけ聞くと特殊でとんでもない女性に…

「宿屋めぐり」 2008

★★★☆☆ あらすじ 主人の命で大権現に刀の奉納へ向かう男は、道中で奇妙な世界に入り込んでしまう。 感想 奇妙な世界にはまり込んでしまった主人公が、元の世界へ戻る機会を窺いつつ、当初の目的である大権現参りの旅をとりあえず続ける物語だ。奇妙な人物が次…

「滅ぼす」 2022

★★★★☆ あらすじ 謎のテロ事件が連続して起こる中、経済大臣の秘書官は元諜報機関職員の父親が倒れたとの報を受け取る。 感想 冒頭では、連続発生した様々な謎が散りばめられたテロ事件の概要が述べられていく。犯行声明めいたメッセージは受け取るも、そのテ…

「一人称単数」 2020

★★★☆☆ あらすじ 気まぐれに普段滅多に着ることのないスーツを着て出かけた男が、バーで不思議な女と遭遇する表題作など、全8編の短編集。 感想 どことなく冷ややかな感触の物語が多い印象を受ける短編集だ。遠い昔を回想するようなものが多く、その時間的距…

「七つの殺人に関する簡潔な記録」 2014

★★★☆☆ あらすじ 選挙を控えて政治的対立がヒートアップするジャマイカで起きたある歌手の暗殺未遂事件。その周辺にいた人々のその後が描かれていく。 レジェンド+2 アーティスト:ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ USMジャパン Amazon 1976年12月にジャマイカ…

「本心」 2021

★★★★☆ あらすじ ふたりで一緒に暮らしていた母親を喪った男は、彼女のVF(ヴァーチャル・フィギュア)を作ることを決意する。 感想 最愛の母をヴァーチャルで蘇らせた男が主人公だ。ヴァーチャルな母親をより本物らしくするために、生前母親と交流のあった…

「女ざかり」 1993

★★★★☆ あらすじ 新聞に書いたある記事が原因で政府から圧力をかけられ、論説委員から外されそうになった女性は、あらゆるコネクションを使って真相を探り、それを阻止しようとする。 感想 政府に圧力をかけられ、異動させられそうになった新聞社の女性社員が…

「逆ソクラテス」 2020

★★★★☆ あらすじ 決めつけで生徒と接する教師を懲らしめようと画策する小学生たちを描いた表題作他、子どもを主人公にした短編集。 感想 子供たちをメインにした短編集で、読んでいて伝わってくるのは、世間の思い込みに対する反発だ。あの子は頭が悪いからで…

「裏声で歌へ君が代」 1982

★★★★☆ あらすじ 画商の男は、食事に誘った女を連れ、以前から招待されていた「台湾民主共和国」準備政府の大統領就任パーティーに顔を出す。 感想 主人公が新政府樹立を目指す台湾の友人の大統領就任をきっかけに、国家と個人の関係について考えるようになる…

「ケリー・ギャングの真実の歴史」 2000

★★★☆☆ あらすじ 貧しい移民の子としてオーストラリアで生まれ、理不尽な扱いを受けながら育った男は、やがて抑圧と戦う義賊となる。 Ned Kelly 作者:FitzSimons, Peter Bantam Amazon 実在したオーストラリアのヒーロー、ネッド・ケリーを題材にした作品。ブ…

「リンカーンとさまよえる霊魂たち」 2017

★★★☆☆ あらすじ 幼くして病死した息子との別れを墓場で悲しむリンカーン大統領と、その様子を興味深そうに眺める成仏できない魂たち。ブッカー賞受賞作。 感想 墓場にやって来たリンカーンの息子の霊と、それにざわつく周辺を漂っている霊魂たちの物語だ。す…

「たった一人の反乱」 1972

★★★★☆ あらすじ 防衛庁出向を断って天下りした元経産省の男は、妻と死別後すぐに若いモデルと再婚するが、少しずつ彼の生活に異変が生じ始める。 感想 昭和中期を舞台にした物語だ。だが最初は主人公らの暮らしぶりに戸惑ってばかりだった。主人公は地方の裕…

「都会と犬ども」 1963

★★★★☆ あらすじ ペルーの首都リマの士官学校で寄宿舎生活を送る人種・出身・階層の違う様々な少年たち。別邦題は「街と犬たち」。 感想 最初は物語の構造がよく分からなかったが、何人かの生徒の現在と過去が交互に描かれていく群像劇であることが分かってく…

「同志少女よ、敵を撃て」 2021

★★★★☆ あらすじ 独ソ戦争でドイツに村を焼かれ、親を殺された少女は復讐を誓い、女だけの狙撃専門小隊の一員となって戦地に向かう。 本屋大賞受賞作、直木賞候補作。 感想 女だけのスナイパー集団という設定は、日本のアニメにいかにもありそうで、美少女キ…

「ガープの世界」 1978

★★★☆☆ あらすじ 風変わりな母親から風変わりな経緯で生まれた主人公、ガープの人生が語られる。 感想 主人公ガープの数奇な人生が語られていく。だがまずは彼の母親が色々とすごい。結婚はしたくないが子供は欲しいと計画的に妊娠して主人公を産み、戦時中の…

「ピンチランナー調書」 1976

★★★☆☆ あらすじ 同じ特殊学級に子供を通わせる元原発の技術者の男に、自分と息子に起きた出来事をゴーストライターとして物語るよう頼まれた作家の男。 感想 知的障害のある子供を持つ父親が主人公だ。ある時、主人公が20歳若返り、子供が20年歳を取る不思議…

「自負と偏見」 1813

★★★★☆ あらすじ 近所に資産家で独身の男がやって来たことに沸き立つ田舎町の上流階級。 別邦題に「高慢と偏見」「自尊と偏見」「誇りと偏見」など。原題は「Pride and Prejudice」。 感想 田舎町の上流階級に属する一家の5人姉妹の次女が主人公だ。彼女ら姉…

「滴り落ちる時計たちの波紋」 2004

★★★★☆ 内容 表題作をはじめ、全9篇の実験的小説からなる短編集。 感想 実験的な小説が収められた短編集だ。前衛的なものからオーソドックスなものまでバラエティに富んでおり、それぞれ異なる読後感がある。 そんな中で強く印象に残るのは「最後の変身」だ…

「マンハッタン・ビーチ」 2017

★★★★☆ あらすじ 20世紀初頭、ニューヨークのマンハッタン・ビーチ近郊で働く父に付いて回り、そこで成長した少女は、第2次大戦中に成人し、海軍工廠で働き始める。 感想 ニューヨークのマンハッタン・ビーチで育った若い女を中心に、失踪した父親、それに関…

「じんかん」 2020

★★★★☆ あらすじ 松永久秀の二度目の謀反の報を受け取った織田信長は、以前彼から聞いた半生を小姓頭に語り始める。 感想 主家殺し、将軍殺し、東大寺大仏殿焼き払いの三悪を為し、信長に二度も謀反を企てた戦国時代の梟雄、松永久秀が主人公だ。これだけの悪…

「白鯨」 1851

★★★☆☆ あらすじ 凶暴な白鯨「モービィ・ディック」を倒すことに執念を燃やす男が船長を務める捕鯨船に乗り込んだ男。原題は「Moby-Dick; or, The Whale」。 感想 序盤は、主人公が捕鯨船に乗り込むまでの様子が描かれていく。陸に飽きて海の世界を見てやろう…