BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

小説

「トーニオ・クレーガー 他一篇 」 2011

★★★☆☆ あらすじ 少年時代を過ごした街を出て、作家として名を成した男、トーニオ・クレーガー。別の邦題タイトルとして「トニオ・クレーゲル」「トニオ・クレエゲル」など。他一篇は「マーリオと魔術師」。 感想 美しい少年との友情や少女への恋心など、よく…

「生は彼方に」 1978

★★★☆☆ あらすじ 詩人として生きた男の人生。 感想 いろんなテーマが含まれている様な長編小説。その中でも青春、若さゆえの醜さが強く感じられる内容となっている。初めて得た恋人への嫉妬や独善的な要求、自己愛の強さと他者の視線との間で揺れるアイデンテ…

「息吹」 2019

★★★★☆ 内容 表題作「息吹」を含む9つのSF短編集。 感想 どの短編も読みごたえのある内容。気軽に読めるというよりは、じっくりと味わってどっしりと疲れがくるような濃厚さがある。一つの短編を読み終えるたびに本を閉じ、しばらく考え込んでしまうような深…

「愛のようだ」 2015

★★★★☆ あらすじ 40代にして免許を取った男は、車を購入して仲間と遠出を繰り返す。 感想 東京から伊勢神宮、草津温泉、富山、岡山と、各地へ車で向かう道中が描かれる。しかし、途中で同乗者と運転を交代しながらではあるが、主人公は免許を取ったばかりなの…

「ダスクランズ」 1974

★★★☆☆ あらすじ ベトナム戦争末期にプロパガンダ政策を担当するアメリカ人と、アフリカ南部で象狩り遠征に出かけた開拓民の男、二人の物語。ノーベル賞作家のデビュー作。 感想 以前読んだこの作家の作品「恥辱」が面白かったので、デビュー作に手を出して見…

「ヌメロ・ゼロ」 2015

★★★☆☆ あらすじ 創刊のための試作版を準備している新聞の編集長から、回想録のゴーストライターを依頼された男。 感想 創刊準備はしているが、創刊することはないだろう新聞の編集室にやって来た男。そこでは毎日のように新聞社の編集方針についての議論がさ…

「冗談」 1967

★★★★☆ あらすじ 女友達に送った手紙に書いた冗談がもとで、人生を狂わされた男が久しぶりに故郷を訪れる。 感想 手紙に書いた冗談がきっかけで大学を追われ、人生が狂ってしまった男。紆余曲折を経た彼が、十五年ぶりに故郷に帰ってきたところから物語が始ま…

「AX」 2017

★★★☆☆ あらすじ 恐妻家で凄腕の殺し屋は、家族の事を考え引退を考えている。連作短編集。 感想 伏線があり、とぼけた会話があり、驚きの展開がありといった著者得意の連作短編集。全体としては大きな物語といえるのだが、特に最初の数編は小粒な印象。主人公…

「ランサローテ島」 2000

★★★★☆ あらすじ スペインのランサローテ島に余暇を過ごすためにやって来た男は、現地で同じような観光客、ベルギー人の男と二人組のドイツ人女性と知り合う。 限定 レア ピンバッジ 風車小屋ランサローテ島カナリア諸島 ピンズ フランス メディア: 感想 物語…

「悲しみよこんにちは」 1954

★★★★☆ あらすじ 父親とその若い愛人と共に避暑地の別荘にやって来た年頃の少女。そこに死んだ母親の友人がやって来て、別荘での暮らしに変化が訪れる。 感想 若い頃は何にも囚われず、自由気ままに生きたいと無邪気に思うものだが、でも心のどこかで、そうは…

「82年生まれ、キム・ジヨン」 2016

★★★★☆ あらすじ 突然様子がおかしくなってしまった一児の母の半生。 感想 どこにでもいそうな一人の女性の半生が描かれていく。そこから見えてくるのは、女性の生きづらさ。自分よりも長男である弟が明らかに優遇され、年頃になれば見知らぬ男に話しかけられ…

「BUTTER」 2017

★★★★☆ あらすじ 容姿端麗とはいえないながら男たちを手玉に取り、殺害した容疑で逮捕された女。そんな世間の注目を集める女を取材することになった女性記者。 感想 実際にあった事件をモデルにした小説。男を騙して金を奪う女と言えば、誰もが美人を想像して…

「にんじん」 1894

★★★☆☆ あらすじ 赤茶けた髪、そばかすだらけの顔で「にんじん」とあだ名される少年の物語。連作短編小説。 感想 「にんじん」と呼ばれる少年と、その家族を中心とした小話が連作で綴られる。少年を主人公にした物語なので、ほんわかした雰囲気の物語なのかと…

「素粒子」 1998

★★★★☆ あらすじ 母親を同じくしながら互いのことを知らずに育った兄弟のそれぞれの人生。 感想 主人公は分子生物学者の弟。それと対比するように国語教師の弟の人生も描かれていく。 物語は彼らの祖父の人生を描くところから始まって、フランスらしい回りく…

「嘔吐」 1938

★★★☆☆ あらすじ 世界中を旅した後、フランスの港町に居を構え、ある人物の伝記を書くために図書館に通う男。 感想 金に不自由せず、ただ自分の関心のままに図書館に通い、ある人物のことを調べる主人公の日々が日記形式で綴られていく。劇的な出来事はほとん…

「優雅で感傷的な日本野球」 1988

★★★☆☆ あらすじ 図書館に通い、本の中の野球に関する文章を書き写す男。 感想 1985年優勝当時の阪神の選手たちが多数登場し、おかしなことを言ったり、精神病院に収容されたり、アダルトビデオの男優になったりと、無茶苦茶なことになっていて、問題はなかっ…

「地図と領土」 2010

★★★★☆ あらすじ 現代アートに偉大な功績を残したアーティストの生涯。 感想 一人のアーティストの人生が、時おり評伝風の文章も織り交ぜながら語られていく。凄いのがその架空の芸術家が生み出す作品の描写。当然存在しないものなので見たこともないのに、あ…

「三の隣は五号室」 2016

★★★★☆ あらすじ 東京郊外のアパートのある部屋の歴代の住人たちの物語。 感想 まず設定が面白い。あるアパートの一室に焦点をあてた物語。歴代の住人、13組が登場する。ただし時系列に沿って歴史を語るのではなく、時間を行ったり来たりしながら住人たちのエ…

「こちらあみ子」 2011

★★★☆☆ あらすじ 母親が自宅で運営する書道教室に通う男の子を好きになった女の子。他2編。 感想 表題作の「こちらあみ子」。まずは構成が上手い。現在から小学生に戻ってそこから中学卒業までを描き、一旦小学生以前にさらに遡ってから現在に戻ってくる。小…

「そして誰もいなくなった」 1939

★★★★☆ あらすじ 無人島に呼び寄せられた様々な経歴を持つ10人が、次々と殺されていく。 感想 様々な理由をつけて無人島に集められた10人の男女。最初は各人物の把握が大変だが、まんべんなく程よく紹介されていくのでそこまで苦労はしない。 集められた10人…

「うたかたの日々」 1947

★★★☆☆ あらすじ ある女性と出会い結婚した裕福な男。しかし、妻が重い病気にかかってしまう。別の邦題は「日々の泡」。 感想 幻想的な表現が多用された小説。正直、書かれている内容がうまくイメージできない部分が多くて少々つらかった。 映画を見て、原作…

「暗夜行路」 1937

★★★★☆ あらすじ 父親との間にあるわだかまりや、自分の出生の秘密に思い悩む青年。 感想 思い悩んでいる青年ではあるが、女遊びをしたり反省したり、友人と酒を飲んだりと、普通に生活して気分がころころと変わる姿がリアルだ。どんなに思い悩んでいる人だっ…

「騎士団長殺し」 2017

★★★☆☆ あらすじ 妻に離婚をきりだされた男は、友人の父親である有名画家が住んでいた小田原のアトリエで暮らし始める。 感想 突然妻に離婚をきりだされて家を出て、北海道・東北を車で彷徨ったのちに、小田原に落ち着いた主人公。そこでかつての住人の有名画…

「羆嵐」 1977

★★★★☆ あらすじ 1915年に北海道で起きた日本史上最大の熊による獣害「三毛別(さんけべつ)羆事件」 を題材にした小説。 三毛別羆事件 - Wikipedia 感想 開拓民たちが三毛別に移り住むことになった経緯についての軽い紹介が終わった途端に始まるヒグマによる…

「十九歳の地図」 1974

★★★☆☆ あらすじ 東京にやって来て住み込みで新聞配達をする予備校生。他全4篇の短編集。 感想 表題作「十九歳の地図」は、田舎から出てきて住み込みで新聞配達をする青年の物語。 多感な時期に都会に出てきて、予備校生でかつ住み込みの仕事をするという自…

「白夜/おかしな人間の夢」 1848

★★★★☆ あらすじ 夜の街を散歩していた青年は、泣き濡れる一人の少女と出会う(白夜)。他全4編の短編集。 感想 表題作「白夜」は夢想ばかりしている青年とある少女との数日間の恋物語。恋が上手くいかず落胆している少女に恋をしてしまっている時点で最初か…

「競売ナンバー49の叫び」 1966

★★★☆☆ あらすじ かつての恋人の遺書に遺言執行人として指名されていることが判明し、現地に向かった女性。 感想 遺言執行人としての仕事をしているうちに謎の組織の存在を知り、興味を持って調べているうちに、それに呼応するかのように周りで奇妙な出来事が…

「金色夜叉」 1898

★★★★☆ あらすじ 結婚の約束を反故にして金持ちと結婚した幼馴染に絶望し、前途有望な将来を捨て姿をくらました男。執筆中に作者死亡のため未完。 感想 熱海で貫一がお宮を足蹴にするするシーンが有名な小説。ちなみに著者の尾崎紅葉が女だと思っていたのは内…

「赤と黒」 1830

★★★☆☆ あらすじ 聖職者として出世を目論んでいた青年は、町長の子供たちの家庭教師として雇われる。 感想 貧しい家に生れながらも立身出世を夢見る青年。ナポレオン失脚後の王政復古期の時代で、軍人ではなく聖職者としての道を選ぶ。しかし、あまりキリスト…

「猫鳴り」 2007

★★★★☆ あらすじ 庭で死にかけていた子猫を飼うことにした子供のいない夫婦。 感想 猫にかかわった人々を描いた作品。そう聞くと、猫大好きな人たちがまさに猫可愛がりするほっこりした様子が描かれているのかと思ってしまうが、全然違う。例えば、最初の章に…