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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

小説

「決壊」 2008

★★★★☆ あらすじ 各地で模倣犯が続出し、社会を騒然とさせる事態を招いた犯罪事件の、関係者となった人々の姿を描く。 感想 社会的に大きな反響を呼んだ殺人事件の関係者たちを描く群像劇だ。最初はある男とその家族、さらには両親や兄までもを含んだ一族の様…

「パッキパキ北京」 2023

★★★★☆ あらすじ コロナ禍で心細くなった単身赴任中の夫から北京に呼び寄せられた20歳年下の若い妻。 感想 主人公は元ホステスで夫は20歳年上、ブランド好きで今を楽しんで生きようとする女だ。勉強は出来なさそうだが頭はきっと悪くなく、動物としての直感が…

「緋色の習作 シャーロック・ホームズ全集 1」 1887

★★★★☆ あらすじ ルームメイトとなったシャーロック・ホームズに殺人事件捜査の依頼が舞い込み、それに同行することにしたワトスン。 シリーズ最初の作品。別邦題に「緋色の研究」。 感想 シャーロック・ホームズの最初の作品で、ワトスンとの出会いも描かれ…

「エホバの顔を避けて」 1960

★★★☆☆ あらすじ 世界の終末を告げるため、神エホバに大都市に向かうよう命じられた靴職人・ヨナ。 旧約聖書の「ヨナ書」を題材にした作品。 感想 堕落した大都市へ行き、神の怒りによって滅ばされることを伝えるよう命じられた男が主人公だ。神からの啓示と…

「短編ミステリの二百年〈1〉」 2019

★★★☆☆ あらすじ 江戸川乱歩による「世界推理短編傑作集」以降に書かれた作品も含めて厳選した短編ミステリ集。シリーズ第1巻。 感想 厳選した短編ミステリが収められたアンソロジーだ。第一巻にはミステリには詳しくない自分には、辛うじて名前くらいは聞い…

「ららら科學の子」 2003

★★★☆☆ あらすじ 20歳の頃、文化大革命を体感するために中国に不法入国した男が、30年ぶりに日本に帰ってくる。 感想 中国から30年ぶりに日本に帰って来た男が主人公だ。何か目的があり、それを果たすために物語が展開していくのかと思っていが、そういうわけ…

「人類の深奥に秘められた記憶」 2021

★★★☆☆ あらすじ フランスで活動するアフリカ出身の作家の男は、デビュー作で話題をさらうも沈黙を守り、その後は新作も出さずに消えていったミステリアスな同郷の作家に興味を持つ。 ゴンクール賞受賞作。 感想 一冊の本だけを残して消えた、ミステリアスな…

「野坂昭如コレクション 1 ベトナム姐ちゃん」 2000

★★★★☆ 内容 著者の最初期の作品16編を収めたコレクション。 感想 どの作品も、一つの文章が長いのになぜか読みやすくもある著書独特の文体となっている。講談師が喋っているかのようなリズムの良さがあり、グルーヴ感があって慣れてくると心地よい。 人間の…

「サバイバー」 1999

★★★☆☆ あらすじ 飛行機を乗っ取ったハイジャック犯が、自身の生涯について語る。 感想 主人公は、集団自殺したカルト教団の生き残りだ。親が信者だった宗教2世で、生まれた時から教団が命じるままに生きてきた。成長した彼は長男でなかったために外の世界に…

「テスカトリポカ」 2021

★★★☆☆ あらすじ 敵対する組織に壊滅的な打撃を受けたメキシコの麻薬カルテルの男は海外に逃れ、たどり着いた日本で復活を期して新たなビジネスをはじめる。 鏡三部作の完結編。直木賞受賞作。 感想 元麻薬カルテルで古代アステカ神話を信奉するメキシコ人の…

「ラム・パンチ」 1992

★★★☆☆ あらすじ ある犯罪者の運び屋をしていたことがバレてしまったスチュワーデスは、捜査官に捜査の協力をするよう持ちかけられる。 クエンティン・タランティーノ監督の映画「ジャッキー・ブラウン」の原作。 感想 無罪放免をエサに捜査に協力を求められ…

「あなたが、いなかった、あなた」 2007

★★★☆☆ あらすじ 友人に会いに行くついでに以前訪れたフェカンに立ち寄ることにした男の心中を描いた「フェカンにて」他、11篇が収められた短編集。 感想 実験的な小説が並ぶ短編集だ。中では最も長い「フェカンにて」が面白かった。フランスの街・フェカンを…

「血の収穫」 1929

★★★★☆ あらすじ 新聞社社長の依頼でとある街にやって来るも、依頼主が殺されてしまった探偵社の男は、悪が蔓延る街を一掃しようと決意する。 別邦題に「赤い収穫」。黒澤明の「用心棒」などその後の数多くの作品に影響を与えた作品として知られる。 感想 悪…

「地図と拳」 2022

★★★★☆ あらすじ 日露戦争に備えて満州へ諜報活動に向かった男は、道中で耳にした石炭が取れるらしい町の調査も行うことにする。 地図と拳 | 集英社 文芸ステーション 直木賞受賞作。 感想 男が通訳と共に満州へ諜報活動に向かうところから物語は始まる。この…

「夜を生き延びろ」 2021

★★★★☆ あらすじ 友人が殺されたことに責任を感じ、大学を辞めてライドシェアで実家に戻る女子大生は、乗り合わせた運転手が友人を殺した殺人犯でないかと疑い始める。 感想 大学の掲示板で募集したライドシェアの相手が、殺人鬼ではないかと疑い始める女子大…

「見るまえに跳べ」 1958

★★★★☆ あらすじ 娼婦と同棲するも、関係を持った受験生が妊娠したことをきっかけに部屋を出ていった大学生の男を描く表題作他、全10篇を収録した短編集。 感想 最初に収められた著者の処女作「奇妙な仕事」はインパクトがある。大学生の主人公が、病院の実験…

「ノー・カントリー・フォー・オールド・メン」 2005

★★★★☆ あらすじ 取引がこじれ、銃撃戦となって全員死んでしまったらしい現場から大金とドラッグを持ち逃げした男とそれを追う殺し屋、そして二人の行方を探す年老いた保安官。 別邦題に「血と暴力の国」。 感想 違法薬物の取引でトラブルになった現場をたま…

「槿(あさがお」 1983

★★★☆☆ あらすじ 中年の男は、定期的に訪れていた献血センターで若い女と知り合う。 感想 中年の主人公が、献血所で知り合った女と、久々に再会した同級生の妹、二人の女の奇妙な思い込みに振り回されてしまう物語だ。 序盤は著者独特の言い回しに慣れず、何…

「その昔、ハリウッドで」 2021

★★★★☆ あらすじ ピークを過ぎてドラマの主演ではなく敵役をするようになった俳優は、イタリア映画の主演オファーを受けるかどうかで悩んでいた。 著書自身が監督した映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のノベライズ作品。 感想 映画のノ…

「エタンプの預言者」 2021

★★★★☆ あらすじ 引退後に以前から気になっていた詩人に関する本を出版した元大学教授は、内容に批判的なレビューがネットに上がったことから、思わぬ炎上騒動に巻き込まれていく。 感想 あまり注目されないだろう地味な本を出版したところ、ネット炎上騒動の…

「大いなる陰謀」 1998

★★★☆☆ あらすじ 陰謀理論を教える大学教授の男は、シカゴの実家にいるはずの妻が、墜落したニューヨーク発ブラジル行きの飛行機に乗っていたとの連絡を受ける。 感想 ドラマ版の「ファーゴ」シリーズが面白かったので、そのショーランナーである著者の小説を…

「顔のない裸体たち」 2006

★★★★☆ あらすじ 普通の人生を送って来た女性教師は、出会い系サイトで知り合った男によって、今まで知らなかった世界へと導かれていく。 感想 自分の性的な写真や動画をインターネット上にアップしていた女の物語だ。これだけ聞くと特殊でとんでもない女性に…

「宿屋めぐり」 2008

★★★☆☆ あらすじ 主人の命で大権現に刀の奉納へ向かう男は、道中で奇妙な世界に入り込んでしまう。 感想 奇妙な世界にはまり込んでしまった主人公が、元の世界へ戻る機会を窺いつつ、当初の目的である大権現参りの旅をとりあえず続ける物語だ。奇妙な人物が次…

「滅ぼす」 2022

★★★★☆ あらすじ 謎のテロ事件が連続して起こる中、経済大臣の秘書官は元諜報機関職員の父親が倒れたとの報を受け取る。 感想 冒頭では、連続発生した様々な謎が散りばめられたテロ事件の概要が述べられていく。犯行声明めいたメッセージは受け取るも、そのテ…

「一人称単数」 2020

★★★☆☆ あらすじ 気まぐれに普段滅多に着ることのないスーツを着て出かけた男が、バーで不思議な女と遭遇する表題作など、全8編の短編集。 感想 どことなく冷ややかな感触の物語が多い印象を受ける短編集だ。遠い昔を回想するようなものが多く、その時間的距…

「七つの殺人に関する簡潔な記録」 2014

★★★☆☆ あらすじ 選挙を控えて政治的対立がヒートアップするジャマイカで起きたある歌手の暗殺未遂事件。その周辺にいた人々のその後が描かれていく。 レジェンド+2 アーティスト:ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ USMジャパン Amazon 1976年12月にジャマイカ…

「本心」 2021

★★★★☆ あらすじ ふたりで一緒に暮らしていた母親を喪った男は、彼女のVF(ヴァーチャル・フィギュア)を作ることを決意する。 感想 最愛の母をヴァーチャルで蘇らせた男が主人公だ。ヴァーチャルな母親をより本物らしくするために、生前母親と交流のあった…

「女ざかり」 1993

★★★★☆ あらすじ 新聞に書いたある記事が原因で政府から圧力をかけられ、論説委員から外されそうになった女性は、あらゆるコネクションを使って真相を探り、それを阻止しようとする。 感想 政府に圧力をかけられ、異動させられそうになった新聞社の女性社員が…

「逆ソクラテス」 2020

★★★★☆ あらすじ 決めつけで生徒と接する教師を懲らしめようと画策する小学生たちを描いた表題作他、子どもを主人公にした短編集。 感想 子供たちをメインにした短編集で、読んでいて伝わってくるのは、世間の思い込みに対する反発だ。あの子は頭が悪いからで…

「裏声で歌へ君が代」 1982

★★★★☆ あらすじ 画商の男は、食事に誘った女を連れ、以前から招待されていた「台湾民主共和国」準備政府の大統領就任パーティーに顔を出す。 感想 主人公が新政府樹立を目指す台湾の友人の大統領就任をきっかけに、国家と個人の関係について考えるようになる…