★★★☆☆
著者
京都の学生たちを描いた連作短編集。
「四畳半神話大系」と関連があるのかないのか分からないような短編集。といっても「四畳半神話大系」の登場人物たちの名前や細かいところは覚えていないので実は登場人物が同じだったりするのかもしれないが。
こうやって変な所に拘って面白がったりする感覚って学生までなのかもしれない。社会に出てしまうと雑事が多くて面白がっている暇がない。とりあえず週に五日は会社に行かなきゃいけないわけだし。学生のように授業サボって家に籠る、なんてことそうそう出来るわけもなく。学生の頃のようにずっと生きていきたいものだ。なんてことを言っていると世の人たちは大人たちはきっと批判するのだろうけど。だからこそ学生時代は特別な日々なのかもしれない。
蝸牛の角から世界が拡大というか縮小していく話は想像力を刺激されて面白い。何かを見てももしかしたらそこに別の宇宙が拡がっていて、みたいに想像して。でもこういう事考えてばかりいると病んじゃいそうだ。仲間たちに別れを告げてまわる話もだんだん重苦しくなってきてこのまま終わらせてしまうんじゃないかと不安を覚える。ちゃんとほっとするオチは用意されていたけど、いつもの著者らしい奔放さがなく、ちょっと心配になった。