★★★☆☆
内容
各所で発表された短編をまとめた短編集。
感想
ただの短編集ではなく、それぞれの短編が互いにつながっているような、つながっていないような感じに仕上げてくれているのが伊坂幸太郎らしい。この内の幾つかは、既に読んだことがあったが、他の短編とのつながりを意識しながら読む面白さがあった。内容を忘れているということもあるのだが。
その中でも良かったのが、時系列が入れ替えられて展開される「月曜日から逃げろ」。伊坂作品おなじみの「黒澤」が登場するが、らしくない動きをしているな、と思いながら読み進めていくと、段々違和感を感じ始めて、やがてそういうことかと理解して、読み終わった後はもう一度最初から読み返してみたくなる。
そして、最後の「合コンの話」。単純に物語っていくのではなく、いろいろな手法を使って展開させていく。
わたしたちは、誰かがどこかで大変な目に遭っていても、目の前の生活で一喜一憂していくしかないんだよ。良くも悪くも、誰もが自分の人生を、大事に、頑張って生きるしかないんだから。
p388
そんな中で語られる言葉。悲惨な出来事が起きたりすると、悲しんでいる人達がいるのに、自分だけが楽しむわけにはいかないと自粛したりすることがあるが、自分が手助けできることはやって、あとは自分の人生を通常モードで進めていくのがきっと正解なのだろう。世界全体を停滞させないことが重要だ。
著者
登場する人物
山家清兵衛/伊達政宗/伊達秀宗
登場する作品
日曜日が待ち遠しい! (フランソワ・トリュフォー監督傑作選8) [DVD]
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