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「マイ・バック・ページ ある60年代の物語」 1988

 

マイ・バック・ページ - ある60年代の物語

 

★★★★☆

 

内容

 60年代後半、学生運動が盛り上がりを見せる中、新人記者として働き始めた著者が、当時を回顧する。

 

感想

 自分の若い頃を過ごした時代が、良い時代だったのか悪い時代だったのかはともかく、いつまでたっても思い入れたっぷりに振り返ってしまうのは良く理解できる。一番、自分や社会に対して思いを巡らした時代でもある。

 

 読んでいて意外だったのは、当時の世間は、初期の学生運動に対しては共感を示していたという事だ。初期は学内での出来事であり、学生たちも自ら暴れていたわけではなく、権力による実力行使に抵抗していただけだったからというのがその理由らしい。

 

 

 デモに対する人々の反応は、今のように冷ややかなものだと思っていた。その当時を知らない自分としては、その後のあさま山荘事件や連合赤軍のリンチ殺人のイメージが強すぎるからそう感じてしまったのかもしれない。

 

「私たち」は、ヘルメットとゲバ棒の”暴力学生”のなかに真の「やさしさ」を見ていたのであり、「暴力反対」の常識をかかげる”一般学生”や大学当局、あるいはマスコミや世論のなかにこそ暴力を見ていたのである。

p11

  

 しかし、平和を叫ぶ者が暴力をふるい、それを冷笑して見ている者が着々と戦争の準備を進めているというのも不思議な光景だ。小さな暴力と大きな暴力。

 

 そんな時代を雑誌の新人記者として過ごした著者。若者たちに共感しながら取材を進めるうちに、いつの間にか事件に関与したことになり逮捕されていく過程は、読んでいるとどんどんと息苦しくなっていく。特に初めて警察の求めに応じて面会をした後に、社に戻ると誰もおらず、しかも上司の一人はオペラを見に行ってしまったという話は絶望しか感じない。会社員なのに一人で対応するしかないという孤立無援の状態だった。

 

 しかし著者は誰を責めるわけでもなく、カッコつけるわけでもなく、自らの素直な感情を誠実に話していて好感が持てる。ジャーナリストの矜持のために捕まったのに、それも途中で投げ出してしまい、するべき戦いからも逃げ出してしまったことを正直に語っている。情けなく無残ではあるが、その心情はよく理解できて責める気にはなれない。

 

 著者の逮捕の話だけでなく、当時の空気が伝わってくるようなその他の話も興味深かった。この時代のように、大勢の人の心が一つになって何かをしようという気運が高まることは、この先もうないのかもしれない。それが良いことなのか、悪いことなのか、良くわからないが。

 

著者

川本三郎

 

マイ・バック・ページ - Wikipedia

 

 

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