★★★★☆
あらすじ
盲目の三味線の女師匠に仕える弟子の男。
感想
プライドの高い女。元々の性格や育った環境にその原因はあるのだろうが、一番の原因は男だろう。もともと気位が高くても、人生が進むにつれて人は性格が丸くなっていくものだが、男がそれをさせなかった。彼女が高い所から一段降りようとすると男も一段降り、そして元の関係に戻そうとする。ある意味、女は気の毒な立場に置かれたのかもしれない。
二人の師弟関係については細かく語っておきながら、男女関係についてはその事実を述べるに留めることで、語られなかった部分についての想像力がかき立てられてしまう。
女の人生に2度も他人の悪意が襲い掛かっているのが、地味に人間の怖さを感じさせる。
著者
谷崎潤一郎
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