★★☆☆☆
あらすじ
何者かに襲われて、20歳以降の記憶は一晩眠ると忘れてしまう記憶障害を患った女は、毎朝目覚める度に自分が何者であるかを夫に尋ねる日々を過ごしていた。
感想
こういう記憶障害を抱えてしまうと、日々の生活に支障をきたし、想像できないほど不安な日々を過ごすことになる。目覚めた時に自分が誰であるか、そして一緒に暮らしているのに、その人間が誰であるのか分からないというのは心が落ち着かない状況だ。そして過去の悲しい出来事について説明される度に、まるで初めて知ったかのように驚き悲しむ事になってしまう。そうなると時が癒してくれる事もなく、悲しい出来事は常に生々しく存在することになる。
そしてそんな記憶障害を抱えた彼女を支えるというのはとても大変なことだ。毎朝、目覚める度に彼女が何者で、自分は誰で、どんな関係かといった同じ説明を繰り返さなければならない。数日であれば何とかできるかもしれないが、それが数年、数十年と続くとなると、とても耐えられそうもない。ましてや何かある度に過去の悲しい出来事についての説明を求められたりしたら、こちらも時と共に癒えるはずの心の傷も癒えようがない。記憶障害を抱えた彼女には本当に申し訳ないが、風化しつつある話を蒸し返す厄介な存在に思えてきてしまった。
なのでそんな尋常ならざる忍耐と根気を持って支えてくれる相手がいるということは、その相手が実際にどんな人間であったとしても感謝するべきことなのだと思う。もしかしたらこれは本人の気持ちに寄り添っていないということになるのかもしれないが、家族や友人にだってサポートし続けることは簡単ではないはずだ。
そう思ってしまったので、映画のストーリーにはどこか納得できないでいる。サプライズな展開が待ち受けていたが、いくつかありそうな展開のうちの一つでもあり、驚きはなかった。そして、最後の感動のはずの長ったるいシーンにも共感できず、余計だなと思ってしまった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ローワン・ジョフィ
製作総指揮
ボアズ・デヴィッドソン/ジョン・トンプソン/ガイヤー・コジンスキー/アヴィ・ラーナー/トレヴァー・ショート/クリスティーナ・ドゥービン/ダニー・パーキンス/ジェニー・ボーガーズ
出演 ニコール・キッドマン/マーク・ストロング/コリン・ファース/アンヌ=マリー・ダフ/ディーン=チャールズ・チャップマン