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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「夢売るふたり」 2012

夢売るふたり

★★★★☆

 

あらすじ

 経営していた居酒屋を火事で失い、再起を目指す夫婦が、やがて結婚詐欺を行うようになる。

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感想

 店を失い失意のまま過ごしていた男が、ふとしたきっかけで客の女と一夜を過ごして大金を手に入れる。店の再建のために役立てようと喜んで飛んで帰ったのに、あっさり妻にばれて白状してしまうところがおかしいが、そういうごまかしが出来ない男だということでもある。

 

 そしてそこから夫婦が手を組んで、女を騙し現金を奪う詐欺に手を染め始める。松たか子演じる妻が主導権を握り、次々と現金を手に入れていく。阿部サダヲ演じる男は、男前といった雰囲気でもないのでそんなに上手く騙せるのかとも思わなくはないが、妻が対象の女の心情をくみ取ることに長けているので、ビジネス的にやってみると意外とやれるものなのかもしれない。

 

 

 あらゆる手段を使って騙そうとする妻に、距離を感じ始める夫。新たな店を始めるための資金作りという目標のためでもあるが、どこかで最初の夫の行為が、浮気ではなく金のためだったと思い込みたかったのかもしれない。

 

 夫は自分に騙されていく女の姿を見続けることで疲弊してしまっている。だが、自分のために尽くす妻を見ているともう止めることも出来ない。夫婦の間に距離が出来始め、互いに本心を言い合えないような、どこか事務的な受け答えになっていく。松たか子と阿部サダヲ、二人の演技がそんな心情をうまく表現している。最終的に夫が取った行動も理解できるような気がする。

 

 夫婦の物語であるが、妻の、そして騙された女たちの物語でもある。そこには世間の波にもまれて生きる女たちの心の隙間が垣間見える。不倫や借金、シングルマザーなど、普通とされる女の人生を歩んでいない事に対する引け目のようなものをどこかで抱えている。普段は表面に出てこないが、ふとしたきっかけでそれが露わになる。そんな経験を重ねながらも、彼女たちはたくましく新たな一歩を踏み出して生きていく。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原案 西川美和

 

出演

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阿部サダヲ/田中麗奈/鈴木砂羽/安藤玉恵/江原由夏/木村多江/やべきょうすけ/大堀こういち/倉科カナ/伊勢谷友介/ヤン・イクチュン/古舘寛治/小林勝也/笑福亭鶴瓶/中村靖日/山中崇/猫背椿

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夢売るふたり

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