★★★★☆
あらすじ
ゾンビが大量に現れ人々を襲う事態が発生する中、老人ホームで暮らす祖父を救出に向かう孫たち。原題は「Cockneys vs Zombies」。
感想
ゾンビコメディ映画ということだが、頭を吹っ飛ばしたりバラバラになった肉片が散らばったりと、表現自体は普通のゾンビ映画と同じでかなりグロテスクだ。そしてコメディも腹を抱えて笑うようなものではなく、軽いジョークが散りばめられているという感じなので、コメディ映画と言うよりは小粋なゾンビ映画と言ったほうがいいかもしれない。
ゾンビといえばゆったりとした足取りで少しずつ間合いを詰めてくるので、ジワジワと追い詰められる怖さがあるが、その特徴がお年寄りと親和性が高いことを教えてくれる。ゾンビとなら足腰が弱くなった老人も戦える。高齢化社会の日本でも、かつての映画スターを起用してゾンビ映画作れば流行るかもしれない。
お年寄りが銃や斧でばんばんゾンビを倒す姿はカッコいい。ありがちではあるが予期していなかったお爺さんの自己犠牲の精神に思わず目頭が熱くなってしまった。ただ、戦争で昔は俺も暴れたもんよ、と無邪気に言えるのは戦勝国の人間だけかもしれない。
原題は「Cockneys vs Zombies」で、訳せば「下町労働者階級対ゾンビ」といったところか。労働者階級というと差別的な意味合いがあるかと思ってしまうが、彼らはそれを誇りにしていることがよく分かる。出身地で差別される謂れがないように、生まれた階級で差別される謂れはないということか。ラストのお爺ちゃんが労働者階級なめんなよ的な強烈な誇りを見せつけるシーンには熱くなってしまった。馬鹿にすると一致団結して倒しちゃうよ、と。日本ではないよな、そういう気概。そもそも誰も自分が労働者であるという自覚がない。
スタッフ/キャスト
監督/製作 マティアス・ハーネー
出演 ハリー・トレッダウェイ/ラスムス・ハーディカー/オナー・ブラックマン/ミシェル・ライアン
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