★★★☆☆
あらすじ
ゾンビが大量発生して香港に逃れ、難民として生きていた元軍人の男は、現地に眠る大金を運ぶ裏の仕事を引き受け、韓国に戻る。
カン・ドンウォン主演、「新感染 ファイナル・エクスプレス」の続編。韓国映画。116分。
感想
前作から4年後の世界で、大金を手に入れるために香港に戻った元軍人の男が主人公だ。ちなみに世界観は引き継いでいるものの、登場人物は一新されているので、前作を見ていなくても、内容を忘れてしまっていても問題なく楽しめる。
冒頭はゾンビが大量発生した前作と同時期のエピソードで、感染した家族を守れなかったり、助けを求める人を見殺しにしたりと、ゾンビ映画らしい展開になっている。
だがそれが終わり、その4年後の現在の話が始まると、ゾンビ映画らしさは一挙に薄まる。そのかわりに描かれるのは、ゾンビ発生後の荒廃した社会で人々が争う「マッドマックス」的世界だ。人々は物資を奪い合い、弱い者をいたぶって憂さを晴らしながら暮らしている。
彼らにゾンビの襲撃を恐れる緊張感はなく、どこかコミカルさすら漂わせているのが印象的だ。だがゾンビ発生から4年も経てば、人々は慣れ、麻痺する。それを日常として受け入れるのも不思議ではない。いつまでもビビってなんかいられない。
彼らを見ているとコロナ禍を思い出してしまう。最初は警戒して慎重だったのに、やがて要領よく対処できるようになった。そして自身の安全を確保した上で、弱者を見つけて袋叩きにしてはストレスを発散していた。どれも見覚えのある光景だったが、この映画が作られたのはちょうどコロナ禍が始まった頃なので、それをどれくらい意識していたのだろうか。構想自体はその前だろうから、たまたま予言的になっただけなのかもしれない。
主人公は運送中の大金を民兵組織に奪われ、たまたま知り合った現地の家族と共にそれを奪い返そうとする。彼らとの戦いはカーアクションがメインで、ストリート・レースものみたいな雰囲気が漂っているのが面白い。敵の車と追いつ追われつしながら、ゾンビをドリフトでなぎ倒し、加速で吹き飛ばしていく。ゾンビはちょっとした武器の扱いで、眩しい光や大きな音でゾンビを誘導し、敵を襲うように仕向けられる。
ゾンビ映画かと思っていたら世紀末映画・終末映画だったので、肩透かしを食らった気分になった。終末映画としても型通りで物足りない。最後に再びゾンビ映画らしい展開となるが、しつこく涙を誘う演出にはげんなりした。
エンジン音の心地よい、カーアクションがメインのゾンビ映画だ。そう思って見るなら楽しめそうだ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ヨン・サンホ
脚本 リュ・ヨンゼ
出演 カン・ドンウォン/イ・ジョンヒョン/キム・ドユン/クォン・ヘヒョ/イ・レ/イ・イェウォン/キム・ミンジェ/ク・ギョファン
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