★★★☆☆
あらすじ
中国三国志の時代、常勝将軍と呼ばれた蜀の将軍、趙雲。
感想
題材からして壮大で、しかも一人の男の生涯を描くのだから、三時間を超える超大作になってもおかしくないような状況で、2時間でもなくわずか100分にまとめてくる割り切りぶりが見事。ほぼ最初と最後の戦いしか描いておらず、この手の映画にありがちな、激しい戦闘の合間の束の間の恋模様もほんの一瞬で終わってしまう。趙雲の生涯というよりも彼の最後を描いた映画と言ってもいいかもしれない。
ただ、最初と最後しか描いていないので、登場人物たちに思い入れがなく、いまいち入り込めなかったのが残念な所。このあたりは有名な三国志を題材にしているわけだから、観客それぞれが自らの三国志知識で補完してくれる事を期待しているのかもしれない。日本の時代劇でも皆さんご存知、織田信長や豊臣秀吉は事細かに描かれないのと同じか。
さらに映画は趙雲の最後、その散り際の美学を描いているので、ワクワクするようなアクション劇と言うよりは、重苦しくせつないドラマ感のほうが強い。見ているのがだいぶしんどかった。
そして、最初から趙雲と一緒で、だたひとり親近感を感じられたサモ・ハン・キンポー演じる兄貴分の男。この男が悲壮感漂う感動のラストへ突っ走る映画の中で、予想外のやらかしを放り込んでくる。彼が語り手となって映画が進行していたので、おいおい、どの口で語ってたんだよ、とちょっと笑ってしまった。これがコントなら見事にオチが決まっている。最後の最後に物語がブレブレになってしまった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/原作 ダニエル・リー
出演 アンディ・ラウ/マギー・Q/アンディ・オン/ヴァネス・ウー/ユー・ロングァン /ティ・ロン
出演/アクション指導 サモ・ハン・キンポー
登場する人物
趙雲/諸葛亮/劉備/関羽/張飛/曹操