★★★★☆
あらすじ
中国の戦国時代、梁と衛の戦争で両軍壊滅的となるが、生き残った1人の兵士が敵国の将軍を捕らえ、恩賞目当てで自国に連れ帰ろうとする。
感想
戦争で両軍がほぼ全滅になる状況とはどんな状況なのかよくわからないが、両者の力が拮抗して一歩も引かなかったということなのか。とにかくそんな中でジャッキー・チェン演じる死んだふりをして生き残った兵士が、瀕死の将軍を捕らえて国に連れ帰ろうとする。そこから二人の奇妙な関係が始まる。
戦争なんか馬鹿らしい、畑を耕して暮らしたいというジャッキー・チェン演じる兵士がいいキャラクターだ。あらゆる手を使って生き残ろうとし、上の人間たちの思惑になんて興味が無い。敵国の兄弟の跡目争いを知って、兄弟げんかのために何千人も死んだの?とか、弟の後ろにいるそいつが唆して話をややこしくしているような気がする、とか、正義のつもりで大真面目にやっている本人たちがドキッとするような、本質をつく事を平気な顔で言ってのけるのが面白かった。どこか黒澤明が描いていたような庶民のしたたかさを感じさせる。
主人公と将軍のコミカルなやり取り、謎の女の登場、彼らを追う集団、そこに割って入る異民族と、テンポよく物語は進んでいく。やっぱりジャッキーのアクションは楽しい。色味を抑えた水墨画のような映像のなかで、突如現れる鮮やかな黄色い菜の花畑は鮮烈な印象を与える。
お上のやることに興味はない、ただ畑を耕して暮らしていたいという主人公が迎えたラストは意外な展開だった。そうは言っても愛国心は持っていたということか。そこもしたたかに生き残って欲しかった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/編集 ディン・シェン
製作総指揮/原案/アクション指導/出演
出演 ワン・リーホン/ユ・スンジュン/ドゥ・ユーミン/リン・ポン/ユー・ロングァン