★★★☆☆
あらすじ
出世を目論む刑事は、同僚を出し抜くためにあらゆる手段を講じる。
感想
同僚の妻に手を出したり、 トイレの壁にゲイの同僚の悪口を自分で書いておきながら大騒ぎしたり、同僚同士が不仲になるよう互いに中傷しているような噂を流したりと、仲間内で優位に立って昇進を手に入れようとする主人公。当然捜査も脅したりすかしたりで、違法行為もやりたい放題。
そんな彼を支えるのが妻の存在。彼の昇進を手伝うのが自分の役目と冒頭に語っている。しかしその割には悪徳を尽くす主人公と顔を合わせたり、会話するシーンはいっこうに登場しない。さらにはクスリの影響か、フラッシュバックで現れる薄汚れた少年の存在。主人公が色々と闇を抱えている事を窺わせる。
一応この映画は、ジャンルとしてはクライム・コメディとされているのだが、正直、全然笑えることはない。いわゆるイギリス・スコットランドの毒のあるきついジョークのようなものが散りばめられている気はするのだが、どぎつすぎてただただひいてしまうだけ。慣れの問題もあるのかもしれないが、一生慣れそうもないような気もする。
エスカレートしていく主人公はやがて自滅へ向かっていく。弱さを隠して、強がりだけでやってきた報いなのか。善良で気弱そうな会計士の男に、友情のようなものを感じていたのは、彼に本当の自分の姿を見ていたからなのかもしれない。
昇進も叶わずどん底の主人公にも、かすかな希望の光はあった。だけどそれを無視してしまうエンディングは、いかにもな皮肉なブラックジョークで、この映画らしい終わり方だった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ジョン・S・ベアード
原作 フィルス
出演 ジェームズ・マカヴォイ/ジェイミー・ベル/イモージェン・プーツ/ジョアンヌ・フロガット/エディ・マーサン/ジム・ブロードベント/シャーリー・ヘンダーソン