★★★★☆
あらすじ
証拠として押収したドラッグを盗み、スポーツ賭博で借金を重ねる悪徳警官が、ある一家殺害事件の指揮を執る事になる。
感想
証拠品を盗んだり、警察の権威を利用する警官が主人公だ。捜査のためになりふり構わないというわけではなく、クスリがほしい、ギャンブルに勝ちたい、という明らかな私利私欲のためにも立場を利用しているので、素直に共感は出来ない。
そんなどこかスッキリしない気分ではあるのだが、ニコラス・ケイジ演じる主人公がやらかす色んなことにはつい見入ってしまうような魅力がある。ニコラス・ケイジのクレイジーな演技が良い。それに公権力をバックにやりたい放題なのかと思っていたら、意外というか当然というか、もっと強い力を持つ者には強く出られなかったりする所も可愛かったりする。
あくどい事をしながらも捜査には熱心で、彼なりの倫理観はあるのかもしれないが、ただ捜査が面白いからやっているだけのような気もする。彼のおかげで犯人を捕まえることが出来ても、他の悪事を考えるとトータルではプラスマイナスで言ったら確実にマイナスだ。だがそれでも一つの事件が解決することで安心する人たちがいるのなら、それはそれで良いことのようにも思えなくもない。考え出すと良く分からなくなってくる。
主人公は悪事がバレて捜査から外され、もっとヤバい力を持つ人間にちょっかいを出してしまって追われることになる。スポーツ賭博の借金もかさんで、窮地に立たされてしまった主人公が、一気に形勢逆転してしまうのは都合が良すぎる感もあるが、それでも悪事を重ねながらも生き延びてきた者の凄みも感じる。
結局、人間万事塞翁が馬で何がどう転ぶかわからない。勧善懲悪でない物語にどこかモヤモヤはあるのだが、それなのに何故かその物語の行く末に目が離せなくもなってしまう、不思議な魅力がある映画となっている。
スタッフ/キャスト
監督 ヴェルナー・ヘルツォーク
製作総指揮 アヴィ・ラーナー/ダニー・ディムボート/トレヴァー・ショート/ボアズ・デヴィッドソン/エリオット・ルイス・ローゼンブラット/アレサンドロ・キャモン
出演 ニコラス・ケイジ/エヴァ・メンデス/ヴァル・キルマー/アルヴィン・“イグジビット”・ジョイナー/ジェニファー・クーリッジ/ヴォンディ・カーティス=ホール/ブラッド・ドゥーリフ/ショーン・ハトシー/フェアルーザ・バーク/マイケル・シャノン/ゲイリー・グラッブス
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