★★★★☆
あらすじ
ひょんなことから強盗団の大金を盗んでしまい、強盗団、ヤクザらに追われることになってしまった少年たち。
感想
主人公ら少年グループに、強盗団、暴力団、それに漁夫の利を狙う別の暴力団やブラジル人組織と、たくさんの人間が入り乱れて展開する物語。互いの関係はそんなに複雑ではないので、それで混乱することはない。各グループの中では、パパイヤ鈴木とスカパラの谷中敦の二人の日本人でやりくりするブラジル人グループの存在がなんか面白かった。ちゃんと成立してしまっているし、妙にいかがわしい雰囲気が漂っているしで。
物語の発端は、店内で騒いでいた主人公グループのひとりが、強盗団のひとりに注意され、それで逆恨みし、待ち伏せて暴行し大金を盗んだ事だ。どう考えても主人公たちが悪い。それなのに主人公側に立って、彼らが危機をどう乗り切るのかを見守るという設定はちょっと違和感があった。血気盛んで暴発してしまった組員の後始末をする組長、みたいな納得できる説明は欲しかった。
軽快な音楽と小粋なジョークで展開される映画といったところで、それはある程度成功していて、全体としてはなかなか良い出来だと思う。ただ細かく見ていくと、小粋なジョーク部分が大して笑えないというのはかなり残念だ。いい調子で話が進んでいても、面白くないジョークで冷めてしまう瞬間がある。やりたいことは分かるだけに惜しいなと思ってしまった。
それぞれが意外なところでつながっていて、そのつながりが予想外の展開を生み、物語を面白くしていく。そのつながりはさすがに都合良すぎだろうと思ってしまう部分もなくもないが、タイトルにもあるように、それらはすべて暑さのせい、で乗り切れてしまいそうな雰囲気を映画内に漂わせているのは上手い。ただ最後は、もう大体話の流れは予想できていたので、ちょっと冗長な感じはあった。
面白くはあったのだが色んな意味で、ヒットした映画をバージョンダウンしてドラマ化しました、みたいな雰囲気が漂う映画ではある。これのバージョンアップ版があればもっと面白く、ヒットしそうな気がする。
スタッフ/キャスト
監督 片山修
脚本 サタケミキオ
出演 城田優/木村了/北川景子/小柳友/浦田直也/鈴木昌平/伴都美子/伊藤千晃/高岡蒼甫/パパイヤ鈴木/谷中/豊原功補/近藤芳正/松尾スズキ/細川茂樹/伊原剛志
音楽 菅野祐悟