★★★☆☆
あらすじ
スター女優がインタビューに応じ、売春婦だった過去とデビューのきっかけとなったある客との出会いを語り始める。原題は「She's Funny That Way」。
感想
主人公らが早口でまくしたてながらテンポよく進むコメディ映画で、いわゆる「スクリューボール・コメディ」なのだが、せかせかと忙しなくて個人的には苦手だ。クラシックな気取った雰囲気の中で、登場人物たちが入り乱れてわちゃわちゃする展開は、ウディ・アレンの映画のようでもある。
ポイントポイントで見れば笑える場面は多いのだが、全体を通して見ると釈然としないものが残ってしまう映画だ。そもそもストーリーが、なんでこんな事で大騒ぎしているの?と思ってしまうような内容となっている。コールガールで女優を目指していた主人公が、舞台のオーディションで客の演出家と鉢合わせしたことがことの発端なのだが、ここで両者が大慌てしているのが解せない。
二人ともすっトボけて何食わぬ顔でやり過ごせばいいだけのことだろう。周囲にバレるのが怖いのであれば、あとでこっそり口裏を合わせればいい。良い悪いはともかく、お金で割り切った関係だったのだから、演出家がなぜ既婚者であることをひた隠しにするのかも分からない。主人公らコールガールたちはそんなことを気にしないだろうし、それを知っていたら察してプロフェッショナルに振る舞ってくれたはずだ。とはいえ彼女たちが状況も考えず、ペラペラと主人公に喋りかけるのもよく分からなかったが。とにかくそんなに大ごとに発展するようなこととは思えなかった。
それに演出家がなぜ色んなコールガールに大金をプレゼントしていたのか、判事がなぜ逮捕されたのか等、よく考えると疑問を感じることも多い。タクシー運転手が仕事を放棄するくだりは面白かったが、でもなんで彼がそんなことをしたのかも不明で逆に引っかかってしまった。そこまで乗客の態度や会話が酷かったとは思えない。勢いとテンポでそんな疑問を誤魔化していくのがスクリューボール・コメディなのだろうか。
終盤の登場人物が一堂に会すクライマックスからの大団円もグダグダな印象で、スッキリしなかった。ここが上手くきれいにまとまってくれればすべてを水に流すことが出来たのかもしれないが、残念ながらそうはなってくれなかった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ピーター・ボグダノヴィッチ
製作 ウェス・アンダーソン/ノア・バームバック/ジョージ・ドレイコリアス/ローガン・レヴィ/ホリー・ウィーアズマ
出演 イモージェン・プーツ/オーウェン・ウィルソン/キャスリン・ハーン/ウィル・フォーテ/リス・エヴァンス/ジェニファー・アニストン/オースティン・ペンドルトン/シビル・シェパード/リチャード・ルイス/デビ・メイザー/イリーナ・ダグラス/ジェニファー・エスポジート/ジョン・ロビンソン/アーナ・オライリー/ルーシー・パンチ/テイタム・オニール/コリーン・キャンプ/マイケル・シャノン
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