★★★☆☆
あらすじ
図書館で働く建築好きの若い女は、病院に搬送された建築学者の父を見舞うため、韓国からやって来た男と出会う。
ロリー・カルキンら出演。103分。
感想
建築に興味を持つ主人公の女性が、建築学者の息子と出会う物語だ。「建築の町」として知られるインディアナ州コロンバスが舞台となっており、「建築」を前面に押し出した映画となっている。建築好きなら、近代建築の数々を意識的にとらえた映像美を見るだけでも十分に満足できてしまいそうだ。
主人公は、二人暮らしの母親が心配で、そばを離れられずにいる。一方の男は、疎遠だった父親のそばにいなければいけないことに戸惑っている。ベクトルは違うが、親子関係に問題を抱える男女が出会ったとも言える。
当然のようにそばにいる家族は、建築物と似ているかもしれない。いるのが当たり前すぎて、その価値を見過ごしてしまいがちだ。父親を見舞うことを厭う男もそうだし、名建築に囲まれているのに「つまらない町」としか思えずに出ていった同級生もそうだ。
しかし、逆に主人公のように家族だからとつきっきりになるのも良くない。近い存在ではあるが、他人は他人だ。家族にも意思があり、自分の思い通りにはならない。いつしか客観的なデータだけで好きな建築を語ろうとするようになっていた主人公は、母親に対しても家族とはこういうものだからという考え方に縛られ、本当の心を押さえつけるようになっていた。
主人公らは建築を介しながら心を通わせ、それぞれが抱える問題を解決するための糸口を見つけていく。両極端にいた二人が歩み寄ることで、ちょうどよいポジションを見つけたということだろうか。示唆を与える建築の話が興味深く、それがメタファーとしてうまく二人の話に機能している。建築とは、人がどう過ごし、どんな関わり方をするのかを考えることなのだなと、今さらながら認識させられた。
静かながらも知的で見ごたえのある物語だが、やや主人公と母親のエピソードが分かりづらかった。母親の友人が、主人公を母親から遠ざけようとするのは、嫌がらせ的な悪意があるのかと疑ってしまったが、単に母親を庇っているだけだった。彼氏と泊った友人の口裏合わせをする女子高生のようで、親子の関係が逆転している。いい大人が子供にコソコソしないといけないなんて、母親も窮屈な思いをしていたのだろう。ここにもいびつな関係が垣間見える。
終盤に少しダレてしまったが、安易な恋愛展開に陥ることなく、落ち着いたトーンで力強く描き切り、好感の持てる映画に仕上がっている。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/編集 コゴナダ
製作 アンドリュー・ミアノ/アーロン・ボイド/ダニエル・レンフルー・ベアレンズ/クリス・ワイツ/ジュリア・カルーゾ/キジン・キム
出演 ジョン・チョー/ヘイリー・ルー・リチャードソン/パーカー・ポージー/ミシェル・フォーブス/ロリー・カルキン/ロリー・カルキン
音楽 ハンモック
撮影 エリーシャ・クリスチャン


