★★★★☆
あらすじ
潜入中の諜報員たちの情報が盗まれ、その首謀者を追うジェームズ・ボンド。シリーズ23作目。ダニエル・クレイグ版の3作目。
感想
組織存続の危機の中、奮闘するジェームズ・ボンド。ミッション・インポッシブルもそうだったが、今どきスパイなんてオールドスタイルで古臭い、というのが世の風潮なのだろうか。確かに今ではITで何でもできてしまいそうではあるが。さらには、ジェームズ・ボンド自身もその力に陰りが見え始め、なんとなく映画全体に黄昏時の雰囲気が漂っている。
今回はそんな雰囲気の中で、それを覆すかのように主人公らが意地を見せる展開となっている。そしてそれがとても良い。ジェームズ・ボンド演じるダニエル・クレイグもスマート過ぎず、反骨心のあるたたき上げ感のある風貌で、このストーリーによくマッチしている。
そして主人公だけでなく、主人公が属する諜報機関「MI6」のメンバーたちも一致団結して戦う姿を見せているのも良い。特に敵に議場を襲われるも、嫌な奴のように描かれていたレイフ・ファインズ演じる監視役も含めて、メンバー皆が銃を手に取り勇ましく戦うシーンは胸が熱くなった。まるで自分たちの存在意義を主張しているかのようだ。
対する悪役を演じるハビエル・バルデムは存在感のある演技で、この映画を盛り上げるのに大きな貢献をしている。やはり印象的な悪役の存在はとても大事だ。本心がどこにあるのか分からないような底知れぬ恐ろしさがあった。
MI6のメンバーの熱い思いを見せておいてから、クライマックスは郊外の一軒家で主人公と悪役との直接対決、という流れも完璧だ。主人公が家に立てこもり悪役が訪れるのを待ち受ける姿は、まるで往年の西部劇を観ているかのようで緊迫感があった。
最初から最後までほとんど不満のない、かなり良い出来のジェームズ・ボンド映画に仕上がっている。
スタッフ/キャスト
監督 サム・メンデス
脚本 ニール・パーヴィス/ロバート・ウェイド/ジョン・ローガン
出演 ダニエル・クレイグ/ハビエル・バルデム/レイフ・ファインズ/ナオミ・ハリス/ベレニス・マーロウ/ベン・ウィショー/ロリー・キニア/オーラ・ラパス/アルバート・フィニー/ジュディ・デンチ/ヘレン・マックロリー
音楽 トーマス・ニューマン
編集 スチュアート・ベアード
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