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「嘆きのピエタ」 2012

嘆きのピエタ [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 天涯孤独で生きてきた無慈悲な借金取りの男の前に、母親と名乗る女が現れる。ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞。

 

感想

 序盤は借金取りの主人公が、債権を保険金で回収するために次々と債務者を不具にしていく場面が続き、かなり暗澹とした気分になる。しかも、相手は遊ぶ金欲しさで借金したわけではなく、資金繰りに困った真面目に働く家族経営の町工場の人間たちだからつらい。

 

 そんな冷酷非道な主人公の前に母親だと名乗る女が現れる。最初は疑い拒絶するが、次第に受け入れていく。この受け入れた後の、主人公の母親への甘えっぷりはなかなかのものだ。一緒にショッピングに出かけてはしゃいだり、母親のベッドに潜り込もうとすらする。この辺りは文化の違いと言ってしまえばそれまでだが、色んな意味で凄いなと思ってしまった。

 

 

 そしてある日突然姿を消す母親。何も怖いものがなかったはずの主人公が、自分に恨みを持つ者の仕業ではないかと狼狽する。母親を探す過程で、主人公が今まで酷いことをしてきた人間たちのその後を見せていくというのは、上手い演出だ。母親を持ったことで、今まで何も感じなかった主人公の心に別の感情が芽生え始めている。

 

 冷酷非道な主人公にひとの心が芽生えていくという心温まる(別に温まらないが)物語かと思っていたら、最後に底意地の悪い仕掛けが待っていた。これをいい話にするのは納得できないなと思っていたので、むしろ安心した。しかし、ラストの主人公は、贖罪のつもりなのかもしれないが、そのやり方は嫌がらせと取られるのではないかと思ってしまった。

 

 物語的には悪くないと思うのだが、借金取りのシーンが何パターンも続いたりとちょっと冗長に感じてしまう部分がいくつかあって、若干しんどく感じないこともない映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作/編集 キム・ギドク

 

出演 イ・ジョンジン/チョ・ミンス
 

嘆きのピエタ [DVD]

嘆きのピエタ [DVD]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2018/08/08
  • メディア: DVD
 

嘆きのピエタ - Wikipedia

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