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「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」 2007

エディット・ピアフ~愛の讃歌~(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 フランスの国民的なシャンソン歌手、エディット・ピアフの伝記映画。

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 原題は「La Môme」。フランス映画。140分。

 

感想

 幼少期は貧しい環境で育った主人公。出征から戻った父親が妻の実家に預けられた主人公のひどい状況を見かねて連れて行った先が、自分の実家の売春宿というから悲惨だ。

 

 酷いところから酷いところに移っただけなのだが、父親からすれば自分のコントロールが及ぶだけまし、ということなのだろう。主人公はその後も、大道芸人の父親についてドサ回りをしたりと、終始恵まれない環境で過ごす事になる。

 

 気の毒な境遇だが、後に歌手として大成したことを考えると、売春宿の娼婦たちの客の心をつかむ術や、大道芸人たちの客前での立ち居振る舞いなどを、幼少期に見てきた体験が大きく影響しているのだろう。ただ、だから良かった、というわけではなく、同じような劣悪な状況で育ったほとんどの少女たちは、その酷い環境に飲み込まれて生涯を終えただろうことを想像できる力は持っておきたいところだ。

 

 

 エディット・ピアフを演じるのはマリオン・コティヤール。姿勢や身のこなしに滲み出る、育ちの悪さを上手く表現している。若い頃から晩年までの各時代の演じ分けも見事だ。

 

 特に晩年のヨボヨボ感はすごかったのだが、80歳くらいの老婆かと思ったらまだ40代だったのには驚いた。だが、事故や心労、モルヒネ中毒の影響で体がボロボロだったし、最後は癌だったそうなので、実際に本当に老けて見えたのだろう。彼女がオスカーを獲得したのも納得の演技だった。

 

 彼女の演技は確かにすごかったのだが、物語の方はというとあまり効果的とは思えない、目まぐるしく時系列を入れ替える構成で、分かりづらかったというのが素直な感想だ。それぞれのエピソードも断片的にしか描かれないのでモヤモヤする。

 

 ただ彼女は国民的歌手なので、観客がどのエピソードも詳細を知っている前提で描かれているような気がした。彼女の有名なエピソードを散りばめておいて、あとは観客それぞれの知識で補ってもらおうとしている。

 

 それを知っているか知っていないかで映画の深みは変わってくる。彼女に関する知識をどのくらい持っているかで印象が変わる映画と言えそうだ。

 

スタッフ/キャスト

監督 オリヴィエ・ダアン

 

出演 マリオン・コティヤール/シルヴィー・テステュー/パスカル・グレゴリー/ジェラール・ドパルデュー/エマニュエル・セニエ/ジャン=ポール・ルーヴ/クロティルド・クロー/ジャン=ピエール・マルタンス/マルク・バルベ/マノン・シュヴァリエ


音楽 クリストファー・ガニング/エディット・ピアフ

 

撮影 永田鉄男

 

エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜 - Wikipedia

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登場する人物

エディット・ピアフ/マルセル・セルダン/マレーネ・ディートリヒ

 

 

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