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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「刺青 IREZUMI」 1984

★★☆☆☆

 

あらすじ

 金持ちの娘である友人と間違われ、誘拐されてしまった歌手の女。

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感想

 事の発端となる主人公に対するナンパの仕方がワイルドだった。運転中の女の車にバイクで近づき、窓をガンガンと蹴る。最後は転んで事故に見せかけ、女に因縁をつけて言い寄ろうとする。やってることが怖過ぎだ。普通に警察に事情を話せば相手が逮捕されて一件落着となりそうな話だが、そんな男と関係を持とうとついて行ってしまう主人公もまたワイルドだ。

 

 そして男の部屋について行った主人公を、金持ちの娘と勘違いした別の集団がやって来て誘拐する。この集団もまたワイルドで、人違いと気づくと主人公の全身に刺青を入れて売り飛ばそうとする。それが駄目そうだと分かると今度は樹海で殺して捨ててしまおうとする。その間にも別の何人かを殺していて、やることが鬼畜過ぎる。

 

 

 人を人とも思わないような犯行だが、昭和はワイルド、と思い込んでしまっているくらい、昔はこんな事件が多かったような印象がある。もともと人間なんてこんなもので、豊かになったここ50年ほどで人畜無害な自己家畜化が進んだだけなのかもしれない。世界的に見ても、こういう凶悪な事件は貧しい地域で多く、豊かになるにつれて減っていっているように思える。

 

 人違いで刺青を入れられ、人生を目茶苦茶にされてしまった主人公。犯罪者たちの元を逃げ出したのになぜかまた戻ってきたのが謎だが、絶望して自暴自棄になり、逆に彼らを利用してやろうと思ったのだろう。そんな主人公らに木之元亮演じる記者が介入して話をややこしくしていく。彼は主人公を歌手に復帰させようと画策するのだが、別に主人公がそう望んだわけでもなく、ただ一人で熱くなって突っ走っているだけなので意味が分からない。隣室の主人公に向かって、壁越しに身振り手振りを交えて熱く自分の想いを延々と語る様子はその象徴的シーンで滑稽だった。

 

 その後も唐突に誘拐事件を起こしたりとカオスなストーリーが続く。それでも何らかの製作者の熱のこもったメッセージが伝わってくれば不満はなかったりするのだが、何も伝わってこず、ただ目茶苦茶なだけだ。タイトル的にも刺青のフェティッシュな魅力を描くべきなのだろうが、時々その刺青を映して見せるだけで、特に何も感じられなかった。これはなんの時間だったのだろうと首を傾げたくなるほどで、何も残らない映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督 曽根中生

 

脚本 那須真知子

 

原作    刺青

 

出演 伊藤咲子/沢田和美/木之元亮/成瀬正

 

刺青 (小説) - Wikipedia

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