★☆☆☆☆
あらすじ
病院の当直バイトにやって来た医師の男は、逃げ込んできたコンビニ強盗によって、患者や看護師と共に院内に閉じ込められてしまう。
坂口健太郎、永野芽郁、高嶋政伸ら出演。 知念実希人原作・脚本。114分。
感想
コンビニ強盗犯が怪我人を連れて逃げ込んだ病院で、当直バイトをしていた医師が主人公だ。犯人が警察から隠れるために立てこもり、病棟に閉じ込められてしまった主人公らはなんとか脱出しようとする。
状況だけを聞けば緊迫しているように思えるのだが、実際はかなり弛緩している。主人公はいきなり銃を持って現れた犯人に驚くことなく強気の対応をしているし、閉じ込められた後は怪我人の患者と互いの辛い思い出を語り合ったり、病棟内を自由に動き回っている。あまりに緊張感のないのんびりとした雰囲気に、「みんな状況分かってる?」と肩を揺すりたくなるほどだ。
ただ、冷静になってみれば、主人公ら職員側は4人で、人質を取られているわけでもないので、たった一人で広い病院を見張らなければならない犯人は圧倒的に不利だ。しかも、犯人は他を封鎖し、エレベーターのみを監視することで主人公らを監禁しているが、逆に言えば、エレベーターを止めてしまえば犯人を病院から締め出すこともできるわけで、実は犯人は全然脅威ではない。いつでも逃げたり、返り討ちにしたりできそうだ。
それに、犯人は別に病院に危害を加えるつもりはないのだから、特に対策をする必要すらなく、なんなら交代の職員がやってくる朝まで通常業務をいつも通り行い、そのまま帰ってしまっても何の支障もなさそうにすら見える。そう察したのかどうかはわからないが、病院側の不自然な対応に不審を感じるようになっていた主人公は、その謎を探り始める。そして、犯人とのやり取りと、病院の秘密の解明が同時に行われる展開となる。
しかし、病院の謎が気になるのは理解できるが、それは事件に巻き込まれている今やることなのかと疑問しかない。主人公の心の余裕がすごい。最終的には、犯人の立て籠もりと病院の謎がつながっていることが分かってくるのだが、皆の描写が不自然すぎて話に入っていけなかった。勝手に犯人にどんどんと金を差し出す院長も意味不明だ。そのあたりをうまく処理して、ちゃんと緊張感を保てる展開にして欲しかった。
それから全体を通して、休日の昼間に再放送でやっている二時間ドラマのような、メリハリのない演出なのも、気分を萎えさせる。再現ドラマのようにただ情報を伝えるだけで、映像的な見応えはゼロのシーンが延々と続く。インパクトはあるものの、段々とノイズになってくる犯人がしているピエロの仮面も、チョイスを間違えたように感じる。
大まかな話の筋としてはそれなりに面白いのだが、映像、脚本、演出、音楽など、映像化に必要なすべてを失敗しているように思える映画だ。日本映画にありがちな、だらだらと続いてなかなか終わらない後日譚にも白けてしまい、心は冷めていく一方だった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 木村ひさし
脚本 知念実希人
出演 坂口健太郎/永野芽郁/内田理央/江口のりこ/朝倉あき/丸山智己/笠松将/永井大/佐野岳/藤本泉/小野武彦/鈴木浩介/大谷亮平/高嶋政伸
音楽 やまだ豊
撮影 葛西誉仁
