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「ラプラスの魔女」 2018

ラプラスの魔女

★☆☆☆☆

 

あらすじ

 硫化水素中毒で死んだ男が発見された温泉地で、安全性の調査を依頼された大学教授は、刑事に殺人事件の可能性について尋ねられる。

www.youtube.com

 

 櫻井翔、広瀬すず、豊川悦司ら出演、三池崇史監督。東野圭吾原作。116分。

 

感想

 硫化水素中毒が発生した温泉地の調査をする大学教授が主人公だ。彼が遺体発見現場を訪れる場面から始まる。だが遠巻きから眺めるだけで、被害者の顔もよく分からず、身元が詳しく明らかにされるわけでもないので、まったく引き込まれない。

 

 役者の演技力も原因かもしれないが、主人公が強い関心を持っているようにも見えず、物語の導入に完全に失敗してしまっている。

 

 

 それでも一応、犯人を探す展開なのかなとぼんやり思っていたら、事件に直接関係のない親子の悲劇が語られ始めて、ますます話が見えなくなってしまった。しかも、それが終わるといきなり刑事が犯人の名前を挙げてしまうので、事件終了、そして物語終了、みたいな空気になってしまった。

 

 その後は、不可能と思われた殺人がなぜ可能だったのかの理由が延々と述べらる。すごいトリックでもあるのかと期待したのに、特殊能力という荒業を使ってきたのでますます冷めてしまった。それだったら何でもありで、もうこれ以上、何を描く必要があるのかと腹立たしくなってくる。

ラプラスの悪魔 - Wikipedia

 

 この中盤は、やたらとセリフが多く、動きも少なくてなかなか退屈だった。登場人物たちのだらだらと続く話を聞くのが面倒くさくなってきて、「あとで時間がある時に読むから文書にまとめて送っといてくれる?」と、イライラした上司みたいなことを言いたくなる。

 

 犯人ら関係者が一ヶ所に集うのがクライマックスだ。だがなぜか映画バカ一代の激白、みたいになっていて、一体何を見させられているのだ?と思ってしまった。

 

 唯一面白かったのは、大事なクライマックスなのに主人公がまったく蚊帳の外だったことだ。冷静に考えると主人公は全くの部外者なので、当たり前といえば当たり前ではある。だがまるで、「今役者陣が大事なシーンをやってるから目立たないようにしていてね」とでも言われているかのようだった。そんな風に見えてしまうこと自体が、シナリオの失敗を表していると言えるだろう。

 

 頑張って興味を持とうとしているのに、その努力をすべてへし折ってくる映画だ。何の物語なのか、さっぱり分からない。

 

スタッフ/キャスト

監督 三池崇史

 

脚本 八津弘幸

 

原作 ラプラスの魔女 (角川文庫)

 

出演 櫻井翔/広瀬すず/福士蒼汰/志田未来/佐藤江梨子/TAO/玉木宏/高嶋政伸/檀れい/リリー・フランキー/豊川悦司/菅原大吉/渋川清彦

 

ラプラスの魔女 - Wikipedia

 

 

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