★★★☆☆
あらすじ
ホテルのレストランでシェフとして働く女は、最悪のタイミングで出会った男が、ホテルを買収しにやって来た富豪だと知る。
感想
天才的な女シェフとグルメな富豪の恋物語だ。まずは劇中に出てくる料理がどれも美味しそうなのがいい。これが駄目だと物語に説得力がなくなってしまう重要なポイントだ。金城武演じる富豪のグルメっぷりもリアリティがあった。
最悪な形で出会った二人が、喧嘩をしながらも料理を通じて心を通わせるようになっていく。序盤は二人が仲良く喧嘩するラブコメ感がよく出ていた。主人公の女シェフを演じるチョウ・ドンユィが、コメディエンヌぶりを存分に発揮している。
二人は、最初はホテルの宿泊客とそのレストランのシェフという関係だったのだが、やがて男が主人公の家で料理を食べ、昼寝までしていくような関係になる。これは恋愛感情によるものではなく、仕事を休んだ主人公の天才的な料理を食べたいがために男が無理やり訪問したことがきっかけだった。男の自己中心的な傲慢さが気になった。
また、男に専属の女シェフがいたことが判明して主人公が怒るのもよく分からなかった。自分の料理を毎日食べておきながら他にもシェフを抱えていたなんてとか、これからは週末だけ料理をしてあげてとか、まる浮気のバレたカップルのようだった。
そのメタファーとしてやっているのかなと思ったのだが、案外と主人公は真面目に怒っている。これは料理バカと言うべきなのか、どういう感情なのだろうと訝しんでしまった。一流の料理人は、自分の料理は特別だからと、客に毎日食べて欲しいとは思わないような気がする。主人公の奇怪な独占欲や嫉妬心には、料理人としての変態ぶりが表れているように感じてしまった。
とはいえ、こんなことが気になってしまうようではラブコメに向いていない、というだけの話だろう。ラストも料理に絡めて欲しかったとは思ったが、ラブコメらしさが溢れた微笑ましい映画となっている。
スタッフ/キャスト
監督 デレク・ホイ
原作 「男人使用手册」 ラン・バイスー
製作 ピーター・チャン/ジョジョ・ホイ
出演 金城武/チョウ・ドンユィ/リン・チーリン