★★★★☆
あらすじ
ハイテク兵器がテロリストに渡るのを阻止するため、CIAの女諜報員は各国の諜報員とタッグを組んで回収を目指す。
タイトルは、アメリカの独立戦争時代に実在した女性スパイのコードネームにちなんでいる。122分。
感想
CIAの女スパイが主人公だ。彼女が各国の女スパイたちとハイテク兵器を奪い合うのかと思ったら、途中で皆の目的が同じと気付いて共闘するようなる。他の女スパイはそれぞれイギリス、ドイツ、コロンビア、中国と、各国の諜報機関に属しており、きれいに国別に分かれている。
女ばかりのキャストだが、男に媚びるようなシーンはなく、皆クールな立ち居振る舞いを見せている。それぞれにちゃんと特徴があり、キャラもちゃんと立っている。
なかでもコロンビアの諜報機関に所属する、本来は現場に立つことがない心理学者を演じたペネロペ・クルスは、美味しい役どころだった。皆とは違う方面で活躍し、他が勇ましく戦う時にはビビり散らかすが、いざという時には覚悟を決めて仲間を救う。ひとり毛並みの違うキャラクターで存在感を放っていた。
カッコイイ女たちが活躍するスパイ映画だが、女たちの物語であることを強調したいがために、彼女らの周囲にいる男たちがだいたい死んでしまうのがなんか面白い。ミサンドリー(男性嫌悪)では?と疑ってしまうほどだ。しかしほぼ男しか出てこない男くさい映画なんてたくさんあるわけで、それの逆パターンだと思えば不思議はない。女くさい映画だ。
兵器の行方を追って各国を転々としたり、激しいアクションシーンや緊迫感のある潜入シーンがあったりと、スパイ映画らしさが溢れていて楽しめる。ただ残念なのは悪役がショボいことだ。しかも終盤になるまで姿を表さない。
あまり悪役が悪役らしいと古臭い感じになってしまうのかもしれないが、「007」シリーズのようにしたかったのなら、敢えて分かりやすく描いても良かったような気がする。同様に登場人物それぞれのベタな決めのシーンも欲しかった。そうすれば「355」のシリーズ化もあり得たかもしれない。
それから、メンバーは悪役にひどい仕打ちをされたのに、案外とリアクションが薄かったのも気になった。復讐は駄目だと自制が働いたのかもしれないが、ラストの悪役に対する処置はヌル過ぎてカタルシスがなく、不満が残った。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 サイモン・キンバーグ
脚本/原案 テレサ・レベック
製作/出演 ジェシカ・チャステイン
出演 ルピタ・ニョンゴ/ペネロペ・クルス/ダイアン・クルーガー/ファン・ビンビン/セバスチャン・スタン/エドガー・ラミレス/ジェイソン・フレミング/エミリオ・インソレラ/シルヴェスター・グロート
音楽 トム・ホーケンバーグ