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「徳川の女帝 大奥」 1988

徳川の女帝 大奥

★★★☆☆

 

あらすじ

 江戸時代、11代将軍・家斉の治世。出世を狙う男の養女として、大奥に送り込まれた女。

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感想

 大奥に入った主人公が、養父の出世のために将軍に気に入られようと、女たちの世界で奮闘する様子が描かれていく。想像していたような女同士の足の引っ張り合いも勿論ちゃんと描かれているが、案外とあっさりとしたものだ。嫌がらせをされ、犯人も大体察しがつくのに、相手に詰め寄りバチバチの戦いを繰り広げるのではなく、泣き寝入りをして有耶無耶のままにしてしまう。もうちょっとドロドロとした戦いが見たかった。

 

 そしてついに将軍に気に入られ、念願叶った主人公の増長ぶりも控えめだ。元々バチバチにやり合っていたわけではないので仕方がない部分もあるが、ライバルたちが地団太踏んで悔しがるようなことをして欲しかった。

 

 ただ、どうせ将軍はそのうち心変わりするから、あの女が得意でいられるのもそれまでだ、という周囲の冷めた態度があった事も大きい。若手はピリついていたが、それに対してベテランは大きく構えていたのが印象的だ。やくざ映画でもよく見られる光景だが、同じような光景をデジャヴのように何度も見てきた経験豊富な年長者ならではの達観なのだろう。

 

 

 おとなしめの描写が多かった映画の中で、唯一主人公がギラギラしていたのは、出産を終えて、離脱中に大きく勢力図が変わった大奥に復帰したときだ。だがこの時に潰しに行った相手が、自分の上司と妊娠中の同僚だったのは、そこじゃない感が大きかった。なぜそこを潰せば再び将軍の寵愛を取り戻せると考えたのかがよく分からない。戦う相手は現役バリバリの同僚たちだったと思うのだが。なんだか全体的に力を入れて描く所が間違っているように感じてしまう映画だった。

 

 それから内容とあまり関係はないのだが、養父が江戸城中で切腹しようとするシーンで、たくさんあるふすまの中の一つだけが、模様となっていた葵の御紋が逆さまになっているのに気づいてしまって、めちゃくちゃ気になってしまった。そんな事よりもまず、そのふすまを作った職人が切腹ものだろう、と思ってしまって仕方がなかった。もしかしたら、敢えて家紋を逆さにする風習があったのかもしれないが。

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 関本郁夫

 

脚本 高山由紀子/志村正浩

 

出演 竹井みどり/西川峰子/吉原緑里/畑中葉子/浜田晃/成田三樹夫/夏八木勲

 

徳川の女帝 大奥

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徳川の女帝 大奥 - Wikipedia

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登場する人物

専行院(お美代)/広大院(茂子)/徳川家斉/中野清茂

 

 

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