★★☆☆☆
あらすじ
夫を殺して皇位を継承した義理の弟の后となった女。シェイクスピアの「ハムレット」が原作。
感想
原作では皇太子が主人公だが、この映画ではチャン・ツィイー演じる王妃が主役となっている。ただ、この変更がうまく行っておらず、結局主人公的要素が皇太子と王妃に分散してしまい、どっちつかずになってしまった印象を受ける。
映画は豪華なセットや衣装で金のかかった大作といった感じ。スローモーションの映像やゆったりとした音楽など、たっぷりとした間を取って、いかにも重厚な映画という雰囲気を醸しだしてはいるのだが、その割には中身が薄く感じてしまう。
これだけ時間をかけて描いて、色々ワチャワチャしたけどまぁそんなに悪くもない結果だったと、主人公が感慨深げに振り返っていても、観ている側としては同じ気持ちにはなれなかった。いろいろな人を中途半端に取り上げてすぎて、逆に主人公の印象が弱まってしまった。
チャン・ツィイーなんだし、ここは彼女を前面にもっと押し出してゴリゴリに描いたほうが良かった気がする。自分の夫を殺した男と結婚しなければいけないとか、自分が疑われないために正義を訴える家臣を見捨てなければいけなかったりと、描くべき複雑な彼女の心境はもっとたくさんあったはず。皇太子だって主人公が守ってやらなければどうにもならない無能、ということにしてしまっても良かったかもしれない。
そういうふうに描いてくれれば、エンディングで観客は主人公と同じように感慨深い気持ちになれたはず。いろいろ苦労したし、思い描いた結果も得られなかったけど、そんなに悪くなかった結末だった、と。
スタッフ/キャスト
監督 フォン・シャオガン
原作
製作総指揮/アクション指導 ユエン・ウーピン
出演
グォ・ヨウ/ダニエル・ウー/ジョウ・シュン/ホァン・シャオミン