★★☆☆☆
あらすじ
大学で心理学を教える男は、学校で娘が転落死した事件の真相を探るため、彼女の同級生らと接触を図る。
内野聖陽主演、芦沢央の同名小説が原作。122分。
感想
大学で心理学を教える講師が主人公だ。娘をいじめて転落死させた女子高生と対決し、罪を認めさせようとする。
この対立する女子高生は、美人で頭がよく、スクールカーストのトップに君臨する少女だ。主人公ら大人ですら翻弄してしまう怪物的な少女ということにしたいようだが、せいぜいが学校の狭い世界を支配して得意になっているだけの、お山の大将にしか見えないのが残念だ。
主人公に対する態度も稚拙だし、普段の言動もわがままな子供にしか見えない。主人公の同僚に「もしクラスメイトだったら私と口を聞くことすらできなかったですよ」とマウントを取るシーンには、思わず苦笑してしまった。学校のクラス基準でしかものを考えられないなんて視野が狭すぎて、いかにも幼い。
そしてなぜかキリスト教への偏見がすごいのも笑ってしまった。
そんな人を操る術に長けているとされる彼女と対峙する主人公もショボい。専門家らしく心理学のテクニックを駆使して彼女を追い詰めていくのかと思ったら、「真相を教えろ!」と真正面からぶつかっていくだけだった。作戦も戦略もあったものではない。これなら別に心理学者ではなく、熱血漢で真面目な普通のサラリーマンで良かったのでは?と思ってしまった。
少女にも心の闇があることを匂わせたり、同級生たちの微妙な心情を描いて、物語に深みを出そうとしているが、どれも中途半端だ。特に主人公の同僚の若い女性は、同じ心理学者だけにどこかで何か決定的な働きをするのかと思っていたが何もなかった。
最後に一応は決着はつくものの、新しい事実が明らかになるわけでもないので、序盤に見た事故のシーンの印象は何ら変わらないままだ。2時間以上もかけて、ずっと何を見てきたのか分からなくなってしまった。主人公は真相を知りたかったのか、復讐をしたかったのか。
序盤で意味ありげに言っていた「ダブルバインド」の伏線も、どこで効いていたのか分からないくらいわかりづらい。
ゆったりとしたテンポでじっくり丁寧に描かれはするが、思わせぶりなだけで何もない映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 大塚祐吉
原作 罪の余白 (角川文庫)
出演 内野聖陽/吉本実憂/谷村美月/葵わかな/宇野愛海/吉田美佳子/堀部圭亮/利重剛/加藤雅也/武田玲奈/今田美桜/北香那/清塚信也

