★★★★☆
あらすじ
動物学者の両親のもと、アフリカで自宅学習をしながら育った十代の少女は、アメリカに戻って初めて学校に通うことになるが、同級生らの生態に戸惑ってしまう。
リンジー・ローハン、アマンダ・セイフライド、レイチェル・マクアダムズら出演。97分。
感想
学校に通った経験のないアフリカ帰りの少女が主人公だ。彼女がアメリカの高校や女子高生たちに戸惑う様子がコミカルに描かれていく。
いわゆるスクールカーストや高校生独自の文化を題材にしたものだが、それを動物学者の娘できっと観察力が高く、生き物の行動に詳しいだろう主人公の目を通して描く設定が巧い。まるでフィールドワークをしているような形になっている。
主人公はひょんなことから学校の皆に注目されるイケてる女子グループに加わったが、リーダーに嫌なことをされて復讐に燃える。同性間で妬みや嫉みがあるのは男女変わらないが、それでも決別せずに仲が良いように振る舞い続けるのが女子グループの特徴だろうか。殺伐としないメリットはあるが、関係を維持するのがしんどいデメリットもある。
しかし、週に一度ピンクの服を着る日があるとか、スカートは皆に相談した上で買わなければならないとか、彼女たちのグループ内に不思議なルールがあるのが興味深い。それで仲間の結束を図っているのだろう。時々、メンバーに意地悪をするのは、グループへの忠誠心を試したり、マウンティングしたりしているのかもしれない。
主人公の復讐は成功するが、結局彼女も馬鹿にしていたリーダーのような振る舞いをするようになってしまう。ミイラ取りがミイラになってしまうということは、どこかで居心地の良さがあるのだろう。他のメンバーも、時に嫌な思いをしながらも決してグループから離れようとはせず、むしろしがみつこうとしていた。これは集団行動をする動物の本能みたいなものなのかもしれない。女子高生グループに限らず、考えてみれば集団に所属する人間の心理はどれも似たようなものだ。
グループのメンバーのキャラがちゃんと立っていて、それぞれが魅力的だ。そして音楽も良く、ちゃんと笑える。しかも単なるバカバカしいコメディで終わらず、最終的にはシスターフッドの物語になっていくのも良い。主人公の「誰かの悪口を言ったところで自分が良くなるわけではない」という言葉は印象的だ。
今ではクラシックな映画と評価されているのも納得の、少女の成長を描いた青春映画だ。
こういう原始的な集団を経て、人はより良い社会集団を作ろうとしてきたはずなのに、最近では国単位の集団ですら、原始的なままの振る舞いをするようになってきた。嘆かわしい風潮だ。
スタッフ/キャスト
監督 マーク・ウォーターズ
脚本/出演 ティナ・フェイ
原作 女の子って、どうして傷つけあうの?: 娘を守るために親ができること
出演 リンジー・ローハン/レイチェル・マクアダムス/アマンダ・セイフライド/レイシー・シャベール/アナ・ガステヤー/ティム・メドウス/リジー・キャプラン/エイミー・ポーラー/ドウェイン・ヒル/ディエゴ・クラテンホフ
音楽 ロルフ・ケント
撮影 ダリン・オカダ
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