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「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」 1917

シャーロック・ホームズ最後の挨拶 (光文社文庫)

★★★☆☆

 

あらすじ

 第一次世界大戦直前にドイツのスパイと対峙するホームズを描いた表題作など、全7編を収録した短編集。

 

 「シャーロック・ホームズ」シリーズの第8作目。

 

感想

 最後に収められた「最後の挨拶」は、ホームズが最後に取り組んだ事件だ。最終回みたいなものなので、、ホームズがどんな活躍を見せるのだろうと期待しながら読み始めたのだが、冒頭からドイツのスパイが上司や情報源と密かに会う様子が延々と描かれ、いつもと違う導入で戸惑ってしまった。

 

 最後なんだから早くホームズを登場させてくれよともどかしかったが、実はすでに彼の活躍は始まっていた。見事な展開だ。しかしもはや探偵小説ではなく、スパイ小説みたいになっている。著書がよほどうんざりしていたのかもしれないが、いつもと違う雰囲気は、引退状態だったホームズがわざわざ復帰したのも、これが最後なのも納得してしまうような説得力を醸成している。結果的に巧いフィナーレとなっている。

 

 

 この後にもう一冊、シリーズの短編集が出ているわけだが、著者がホームズを死なせても、引退させても、最後の事件だと言っても、結局このシリーズを終わらせることが出来なかったのは、なんだか気の毒だが可笑しくもある。彼が何をやっても結果的には、すべてがシリーズにとって良い方向に転んでしまっているようなところがある。

 

 その他の短編はどれも雑な印象で、事件の一部の謎だけ解いて、全容は明らかにしていないように思えるものが多く、どうにもスッキリしない。ホームズが死にそうになる「瀕死の探偵」もどこか大げさで、冷めてしまうところがあった。

 

収録作品

「ウィステリア荘」/「ブルース・パーティントン型設計書」/「悪魔の足」/「赤い輪団」/「レディ・フランシス・カーファクスの失踪」/「瀕死の探偵」/「最後の挨拶―シャーロック・ホームズのエピローグ」

 

著者

アーサー・コナン・ドイル

 

シャーロック・ホームズ最後の挨拶 - Wikipedia

 

 

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