感想
iPodを作った男、スティーブ・ジョブズ。こんな性格が悪い男だとは知らなかった。
でも、彼はユーザーの意識をちゃんと分かっている。カッコいい広告で紹介されるカッコいい商品は欲しくなるし、カッコいいだけじゃなく、使いやすければなおさらうれしい。そんな製品を世に送り出している。
モータショーでカッコ良かったコンセプトカーが、販売される段になると平凡なデザインになってしまっているように、大抵、商品は開発していく過程で無難なものに変わっていく。だけど、彼はそんな事をさせない。更にカッコいいものを追求する。
きっと彼が求めているのはお金ではなく、最高にクールなものを世の中に送り出した、と賞賛される事なのではないだろうか。そしてその自信もある。だから、誰にも邪魔されない立場、自分の意思を押し通す事が出来るトップにいる事に拘るのだろう。そのためには目障りな人間は何とか追い出そうと画策するし、手柄は自分のものにしようとする。
そこまでする人間がトップにいる企業というのはそうそうない。かつてはウォークマンなどを生み出し、クールとされていたソニーも今や心配される企業になってしまっているし。こんな事ならウォークマンじゃなく、iPodを買っときゃ良かった。
著者
ジェフリー・S・ヤング/ウィリアム・L・サイモン
訳 井口耕二