「クラウド・アトラス」　2012

★★☆☆☆

あらすじ

　6つの時代の6つの物語。

感想

　6つの時代の物語が同時進行的に語られる。そして、役者たちもそれぞれの時代でそれぞれの役を演じている。6つの物語は何となくつながりがあるようなので、恐らくはそれぞれの役者が各時代でどんな役を演じているかに注意してみると、いろいろと見えてくることがあるような気はするのだが、あまりそんな気にはなれない。

　おそらくその理由は、それぞれの6つの話がそんなに面白くないからだろう。面白くないというよりも、面白いはずだがじっくり描けていない、という方が正しいか。それでも3時間近くある映画となっていて、何とも中途半端な仕上がりになってしまっているような気がする。

　そして、役者陣がそれぞれの時代で色んな役をやるために、特殊メイクなどをしているのだが、正直、物語よりもその特殊メイクが気になってしまって集中できない、というのもある。特にソウルを舞台にしたパートでは、無理やり皆アジア系の容貌にされてしまって、違和感が半端ない。

　それから特殊メイクが過ぎて、役者に気づかない、というのもある。エンディングの紹介で、ああこれはスーザン・サランドンが演じていたのか…と気づいたりするようなこともあった。でもおそらくそれはそれでよくて、今度はそれを踏まえてもう一回見てみようとなるのが理想なのだろうが、もう一回見ようという気にはならないのが残念なところ。

　そんなにつながりが強くない物語をわざわざ6つも並べて、なぜこんな形式の映画にしたのかがよく分からない、というのが正直な感想だ。そんなに必然性がないというか、効果的でないというか、特に面白みや壮大さが増したようには感じなかった。多分、最後のパートだけをじっくり描いてもそんなに受ける印象は変わらないのではないだろうか。