★★★☆☆
あらすじ
同僚の娘を殺した犯人を執拗に追い続ける元FBI捜査官。
アルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」のハリウッド・リイマジネーション作品。
感想
ジュリア・ロバーツとニコール・キッドマンの競演。もう一昔前なら華やかな作品になっていたかもしれないが、今作はシリアスで重めの内容になっている。ジュリア・ロバーツは年相応のやつれたおばさんを演じているが、ニコール・キッドマンはいい女の役で、それがすこし闇夜に浮かぶ幽霊のようで不気味さがあった。
物語は、主人公が同僚の殺された娘の犯人を捕まえようとするが、FBIの内部事情によって握りつぶされてしまうというもの。人ひとり殺されているのに、些事だとして無視しようとするなんて、FBIは人の心がないクソだなと言いたくなる。だが、主人公たちも被害者が身内と知るまでは軽口とか叩いたりしていたわけで、同じ側の人間だったという演出はニクい。
組織に嫌気がさしてFBIを辞めた主人公。それでもあきらめておらず、ついにその後行方が途絶えた犯人を見つけ出し、仲間の元に戻ってくる。今度こそ犯人を捕まえようと奮闘するが、そこで予想外の事実を知る、という結末なのだが、正直あまり衝撃はなかった。
事前に色々と情報を出し過ぎてしまった感があるからだろう。逆に嘘の告白の方が、あんなこと言っていたのにそんなに簡単に?と思ってしまった。むしろ真実を知って、でしょうね、と安心したようなところもあった。被害者の母親には何も語らせず、ただ打ちひしがれた様子だけを見せておいて、衝撃の事実のあとに胸中を語らせた方が驚きがあったような気がする。
そして、主人公が不明だった犯人の行方を突き止めたと思ったのはただの勘違いだったのかとか、ニコール・キッドマン演じる検事の思わせぶりないい女感は何だったのかとか、真実を知って逆に次々と疑問が沸き起こってきた。
それに主人公がFBIを辞めた後も犯人を追っていたのは知っていただろうに、ジュリア・ロバーツ演じる被害者の母親はそのままにしておいたのは酷い。主人公は十何年もの時間を無意味な事に費やしたことになる。
もしかしたら、主人公のせいで娘が死んだということで彼も罰するつもりだったのかもしれないが、そうなってくるとだいぶ話が変わってきてしまって違う怖さが出てきてしまう。そのあたりの納得感が欲しかった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ビリー・レイ
原作 瞳の奥の秘密 [DVD]/La pregunta de sus ojos [The Question in Their Eyes]
出演 キウェテル・イジョフォー/ニコール・キッドマン
ディーン・ノリス/マイケル・ケリー/ジョー・コール/アルフレッド・モリーナ/ドン・ハーヴェイ
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