★★★★☆
あらすじ
かつて任務中にケネディ大統領暗殺事件に遭遇したシークレット・サービスの男は、大統領暗殺を目論む男に付きまとわれるようになる。原題は「In the Line of Fire」。
感想
冒頭は主人公がおとり捜査をするシーンから始まる。シークレット・サービスはそんなこともするのかと意外だったが、後で調べると元々は偽札の取り締まりなどが本来の任務だったようだ。
かつて大統領を守れなかった主人公が、大統領暗殺を予告して自分に付きまとってくる男の犯行を阻止しようとする物語だ。主人公を演じるクリント・イーストウッドと犯人役のジョン・マルコヴィッチの見ごたえのある迫真のやり取りに、思わず見入ってしまう。互いにプロフェッショナル同士の駆け引きは緊張感があった。
クリント・イーストウッドは当時65歳で、若干、主人公が高齢すぎるというのが気になるのだが、それもJFK暗殺事件と絡めることで上手く処理している。責務を果たせなかったことを悔やみ、次こそはと現役にこだわってきた。とはいえ、そんな彼を若手中心の現場に投入できてしまう上層部もすごいのだが。
そしてクリント・イーストウッド映画のお約束とも言える女性を落とすシーンもある。いくつになろうが女をものにするのが男・クリント・イーストウッドだ。たださすがに彼と言えども、いつものアプローチの仕方は時代的に薄っすらとセクハラ親父感が漂ってしまっていた。一応はそこまで強引さは出しておらず、時代に適応しようとしているのは伝わってくる。こうやって少しずつ世の中は変わっていくのだなと実感する。
アクションよりサスペンスやスリラーを前面に出した映画だが、逃げる犯人を主人公が追う中盤のシーンは、クラシックな雰囲気のある見事なアクションシーンでグッと来た。そしてこれがクライマックスの直接対決の伏線となっている。良く出来た中身の濃い映画だった。
スタッフ/キャスト
監督 ウォルフガング・ペーターゼン
出演
ジョン・マルコヴィッチ/レネ・ルッソ/ディラン・マクダーモット/ゲイリー・コール/フレット・ダルトン・トンプソン/ジョン・マホーニークライド・クサツ/トビン・ベル/パトリカ・ダーボ/ジョン・ハード/スティーヴ・レイルズバック*
*クレジットなし
音楽 エンニオ・モリコーネ
撮影 ジョン・ベイリー