★★☆☆☆
あらすじ
スポーツ強豪校が戦国時代にタイムスリップし、桶狭間の戦いに巻き込まれていく。
新田真剣佑、三浦春馬、松山ケンイチら出演、本広克行監督。漫画原作。115分。
感想
スポーツ強豪校が戦国時代にタイムスリップする物語だ。いきなり野武士に襲われ、生徒たちが残虐に殺されていく序盤はツカミとして悪くなかった。
どうやら桶狭間の戦いの直前のようで、生き残った生徒らの一部は織田軍の人質となり、残りは今川軍側の松平元康(徳川家康)に捕らえられてしまう。人質となった生徒たちを助けるため、弓道部の主人公は家康に協力を申し出て、皆で合戦に参加することになる。
高校生たちが戦うこと自体はいいのだが、それぞれが所属する部活に縛られた戦い方をするのがとてつもなく馬鹿っぽい。剣道部や弓道部、なぎなた部はそれ系統なのでまだ理解できるが、ボクシング部や空手部はほぼ素手だし、アメフト部なんてタックルだけで戦っている。刀を持った相手にさすがにそれはない。
勝手に限定してないで、ちゃんと戦える武器を持てよとイライラする。その上で各々が部活の特徴を出せばいい。最初から自分たちを縛ってしまって臨機応変な対応が出来ないから日本の教育は駄目なのだとしょうもない批判をしたくなる。
そして展開するのは、各部活に対する偏見のオンパレードだ。空手部は根性だけの馬鹿でフェンシング部はキザ、ボクシング部は元不良と、雑なステレオタイプで処理されていく。青春群像劇にしたかったようだが、小馬鹿にしているように見えてしまう。
肩に爆弾を抱えた野球部のピッチャーのくだりなどはもう完全にギャグだ。部活に限定している時点でだいぶ荒唐無稽なので、いっそのことスポーツ漫画あるあるを詰め込んだコメディ映画にした方がずっと面白くなったかもしれない。
どうでもいいような展開がダラダラと続き、興味の沸かないクライマックスの敵役との対決もなかなか終わらない。序盤は次から次と残虐に殺していたくせに、最後はヒロインを負傷させるだけにとどめたのも生ぬるい。中途半端な「バトル・ロワイアル」みたいになっている。
家康が死んだ時点でオチは分かってしまったが、松平元康が改名して「家康となります」と宣言して終わるラストシーンは意味が分からなかった。全く関係ない人間が突然家康を名乗るのなら「そういうことか!」となるが、歴史通りに元康が家康になりましたと告げられても「でしょうね」としかならない。どんな効果を期待していたのだろうか。
高校生が漫画みたいなデカい剣を背負った冒頭のカットで嫌な予感がしたが、それが的中してしまった。桶狭間の戦いの地味な局地戦だけを取り上げているのもそうだが、そもそも映画化に勝算はあったのかと疑問に思ってしまう映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 本広克行
脚本 山浦雅大/山本透
原作 群青戦記 グンジョーセンキ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
出演 新田真剣佑/山崎紘菜/鈴木伸之/濱田龍臣/鈴木仁/福山翔大/飯島寛騎/長田拓郎/足立英/渡邊圭祐/水谷果穂/宮下かな子/市川知宏/草野大成/池田純矢/高橋光臣/三浦春馬
音楽 菅野祐悟
