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「映画『信長協奏曲 NOBUNAGA CONCERTO』」 2016

映画『信長協奏曲 NOBUNAGA CONCERTO』

★★☆☆☆

 

あらすじ

 現代から戦国時代にタイムスリップして、織田信長として生きる高校生。次第に本能寺の変が近づいてくる。 テレビドラマの劇場版。

 

感想

 現代からタイムスリップした主人公が織田信長になり、本物の織田信長は明智光秀として生きているというアイデアは面白い。そこに本物の織田信長に恨みを持っている秀吉が絡むことで、明智光秀がなぜ裏切ったのか、秀吉がなぜあんなに早く光秀を討てたのか、すんなりと腑に落ちる。

 

 テレビドラマではどこまでやったのか分からないが、この劇場版では、信長となった主人公は天下をほぼ手中に収めており、あとは本能寺の変を残すのみ、といった状況でスタートする。ただ、現代からやってきた主人公が本能寺の変を知らないという設定にいきなり戸惑わさせられた。

 

 

 「本能寺の変」というほとんどの日本人が知っている出来事を知らない、というのはちょっと苦しいのではと。老若男女がみんな知っていると判断しているからこそ、こういった若者向けの映画で題材にしたくせに、その映画の主人公が知らない設定なんて。

 

 勿論、絶対に皆が知っているというわけではなく、知らない人もいるだろうが、そんな人だったら地動説とか月の知識も知らないはずだ。そんな無理筋な設定にしないで、分かっちゃいるけどどうしても本能寺に導かれてしまう、というような流れにして欲しかった。

 

 そして、一時は主人公を妬むも今や改心した本物の信長、明智光秀が、本能寺の変を起こした経緯も首をひねりたくなる。やらなければ帰蝶を殺すと秀吉に脅されたが、事前に帰蝶は保護できている。だから、もうすでに主人公を討つ理由はないはずだった。

 

 お前がやらなければ俺がやる、とも秀吉に言われたが、それならばもはや討つべきは主人公ではなく、秀吉だったのではないか。やりたくない事をやって主君殺しの汚名を着せられるぐらいなら、邪魔な秀吉を討ってしまえばよかったのに。こちらも乱心して同僚を殺したと汚名を着させられるかもしれないが、その方が主人公のためにもなったし、本人も受け入れられただろう。

 

 家族を意味なく殺してしまい、秀吉に負い目を感じていたという事があるのかもしれないが、それならば帰蝶を保護した後は、何事もなかったように本来の任務をこなすという選択肢もあったはず。と、考えれば考えるほど、この映画の中の本能寺の変にはモヤモヤがつのってしまった。ただ、本能寺の変の最中に、すでに秀吉も乗り込んできているのはちょっと面白かった。いろいろ端折った強引な展開。

 

 しかし、秀吉を演じた山田孝之は最近、腹にイチモツを抱えて主人公と関わる役ばかりやっているような気がする。

 

 そして結局、歴史は変えられないという事で、皆が知ってるほぼ歴史通りにことが運んだという、特段面白みのない展開になってしまった。本能寺の変はよほど大胆な事をしない限り面白くならないような気がする。ただ、現代からやってきた若者が、田舎の小大名から天下を手中に収めていく過程を描いたテレビドラマは面白かったのだろうなという気はしている。主人公だけではなく、その他にも現代からやってきた人間が混ざっているというのも悪くない。

 

 それぞれのシーンをたっぷりやる割には中身が薄いのが気になったが、ドラマから見てきた思い入れのある人にはそれぐらいやってくれないと満足できない、という事なのかもしれない。第三者から見ればどうでもいいが、当事者たちにとっては重要なことはよくある。ということはつまり、映画から見ると当事者になれない、ということか。

 

スタッフ/キャスト

監督 松山博昭

 

脚本 西田征史/岡田道尚/宇山佳佑

 

原作 信長協奏曲(1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)


出演 小栗旬/向井理/藤ヶ谷太輔/水原希子/古田新太/濱田岳/高嶋政宏/でんでん/北村匠海/藤木直人/森下能幸

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音楽 ☆Taku Takahashi
 

映画『信長協奏曲 NOBUNAGA CONCERTO』

映画『信長協奏曲 NOBUNAGA CONCERTO』

  • 発売日: 2016/07/20
  • メディア: Prime Video
 

信長協奏曲 - Wikipedia

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