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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「翔んで埼玉」 2019

翔んで埼玉

★★☆☆☆

 

あらすじ

 埼玉県人であることを隠して東京の超名門校に転入した男は、都内で迫害される埼玉県人の開放を目論んでいた。

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感想

 埼玉県をメインに関東各県をいじり倒す物語だ。こういうのは遠慮をしてしまうと面白くないが、ちゃんと徹底していたので笑えた。そして地味に部分的に東京もディスっているのも良かった。個人的には「執事なんだからどうせ狛江とか町田の出身でしょ」とナチュラルに偏見を放り込んでくるシーンが好きだった。悪意なく偏見を口にする人は現実世界に多く、その無邪気さについ笑ってしまうのだが、でも本当は恐ろしいことでもある。

 

 序盤は千葉県などと互いにディスり合う展開で楽しめた。ただそれだけでは映画にならないので少しずつストーリーを物語り始めるのだが、これがつまらなかった。これは展開されるストーリーがどこか生真面目なのが大きいだろう。せっかく現実味を薄めるために馬鹿げた設定にしているのに、妙に丁寧に物語を紡ごうとするものだからそこで停滞感が生まれてしまった。これは茶番劇だ、と自ら言っているくせに、馬鹿になり切れていない。へらへら笑って見ていられるような、くだらないストーリーで全然よかった。

 

 その内容も、ライバル県同士が和気あいあいとディスり合っているだけなら面白かったのに、それが本格的な殴り合いに発展してしまい、スッと冷めてしまうような気まずさがあった。そしてそうなってしまうとどちらが勝とうが、結果がどうなろうが、実はさして興味のないことに気付いてしまった。

 

 それでも間に差し挟まれる地域ネタはそれなりに面白かったし、二階堂ふみがこの映画にちょうど良い演技を見せていて感心したりして、まずまずだったなと思っていたのにそこからの後日談が長い。もうお腹いっぱいでそこそこ満足していたのに、そこからさらにたいして美味しくないものを延々と出され続けたみたいなもので、段々と嫌いになってしまった。なにを真面目に伏線回収だの、ディスったことに対するフォローだのをしているのだ、と腹立たしくなる。

 

 

 ただこれらは自分が埼玉にあまり関わりのない人間だからそう思うだけで、関係のある人だったらまた感じ方は違って、きっと楽しいのだろうなというのは理解できる。誰だって自分の話をされるのは大好きだ。そういう意味では、今回ネタとなった関東やその隣接県に住む人も含めれば日本の人口のおよそ半分くらいがターゲットになっているわけで、マーケティング的には悪くない映画なのかもしれない。編集で内容の粒度を変えた埼玉(関東)公開版と全国公開版の二つを作ればなお良かったような気もする。

 

 それからこれは埼玉県をネタにした映画で、広く受け入れられたわけだが、これが他の国や地球のある地域をネタにしたものだったらまた反応が変わってくるはずで、その違いは何なのだろうと考えてしまう。この映画もそのうち差別的な映画だとみなされてしまう日が来てしまうのだろうか。それとも黒人のNワードのように、本人が言う分にはオッケー、みたいな扱いになるのだろうか。

 

 

スタッフ/キャスト

監督 武内英樹

 

脚本 徳永友一

 

原作 このマンガがすごい! comics 翔んで埼玉 (Konomanga ga Sugoi!COMICS)

 

出演 二階堂ふみ/GACKT/伊勢谷友介/ブラザートム/麻生久美子/島崎遥香/成田凌/中尾彬/間宮祥太朗/加藤諒/益若つばさ/武田久美子/麿赤兒/竹中直人/京本政樹/小沢真珠/岡山天音

 

翔んで埼玉

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  • 二階堂ふみ
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翔んで埼玉 - Wikipedia

 

 

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