★★★★☆
あらすじ
バレー部のキャプテンを務める桐島が部活をやめたという噂が、同級生たちのいつもの日常に少しずつ微妙な変化をもたらしていく。
感想
何度も時間を巻き戻しながら、様々な人物の視点を描いていく。最初の一瞬だけ戸惑ったが、それ以降はこんがらがることもなく状況を理解できた。
クラスの中にある小さなグループが、グループ同士で微妙な距離感を保ち、グループ内でも互いに顔色を窺いながら、それぞれが自らの立ち位置を見極めようとしている。学校も小さな社会だということがよく分かる。
群像劇でたくさんの登場人物が出てくるが、それぞれが丁寧に描かれている。部活に来ない後輩にあまり踏み込まないで遠回しに話しかける野球部キャプテンが、出番が少ない割になんか良かった。それから吹奏楽部部長役を演じる大後寿々花の演技も良かった。若干ストーカー気味ではあるが、自分では隠しているつもりの恋心が全然隠せていない感じで、いい表情を見せている。
登場人物の誰に肩入れするかで、その人の高校時代がわかるような気もする。この映画は映画部がメインに描かれているが、監督の思い入れが込められているようにも感じて少しニヤリとしてしまう。
なんで桐島が部活をやめたのかの謎を解くミステリーだと思ってしまうと肩透かしを食ってしまうかもしれない。他のみんなにも色々あるんだから、桐島にもきっと何かがあったのだろう。そう思える深みのある映画だった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 吉田大八
原作
出演 神木隆之介/橋本愛/東出昌大/清水くるみ/山本美月/松岡茉優/落合モトキ/浅香航大/前野朋哉/高橋周平/鈴木伸之/榎本功/藤井武美/岩井秀人/奥村知史/太賀/大後寿々花