★★☆☆☆
あらすじ
任務中に拉致されてしまった父親を救うため、組織の意向を無視して救出に向かうCIA捜査官。
感想
少年の頃に母親が目の前で殺されてしまったトラウマを持つ主人公が、拉致された父親は殺させまいと立ち上がる物語。なのだが母親が殺された状況は、主人公がどうこうできる状況ではなくて、敵に気付いた時には殺されていたので、トラウマになるほどの事はなかったように思う。確かに悲しいとは思うのだが、助けられたはずとは普通は思わない。
身内だと私情が入って判断を誤ることがあると、父親拉致事件の捜査に参加させてもらえない主人公。勝手な行動をしないようにと同僚たちに車で家まで送り届けられるのだが、その途中で暴れて、強引に単独行動に出る。しかしここは一旦、素直に家に帰ってから動き出せばいいのに、走行中の車の中という危険な状況で、なぜわざわざ同僚たちをボコボコにしなければいけなかったのか謎だ。
まさかCIAも、自身の職員を監視するために、他の職員を何人も使うような無駄な事はしないだろうし、万が一したとしても、監視の目をかいくぐって脱出する方が味方同士で戦うリスクは少なかったはず。この後の主人公の行動も万事がこの調子で、ノープランで正面突破の1点張り。スマートさのかけらもなく、馬鹿っぽい。
そして、その相棒となるのはかつての恋人であるCIA女性捜査官。彼女がまた中途半端な存在で、そこそこ美人でそこそこ強いが、大して役にも立たず簡単に敵に捕まったりして、何なの?と思ってしまった。何のために総合格闘家のジーナ・カラーノを使っているのだと言いたくなる。全然圧倒的なところがなくて見せ場なし。どうせなら主人公よりも強くて、頼りになる相棒として描けば新鮮だったかもしれない。
もう一人の主要人物、ブルース・ウィリス演じる主人公の父親は、CIAのトップエージェント。引退最後の仕事で積年の心残りを片付けようとしていたことが分かるのだが、それで一番優秀なのかと疑いたくなるような立ち回りで、最後も呆気ない。CIAは、こんなのばかりで大丈夫なのだろうか。CIAからクレームがきそうだ。
グダグダな面々による気持ちよさのかけらもない、ずっとグダグダな映画。ストーリーも分からない事もないが分かりづらく、モヤモヤしたものが残る。センスのあるタイトルバックから始まっただけに、残念感が強い。
スタッフ/キャスト
監督 スティーヴン・C・ミラー
出演 ケラン・ラッツ/ブルース・ウィリス/ジーナ・カラーノ/D・B・スウィーニー/サマー・アルティス