★★★★☆
あらすじ
娘と元妻の二人とトルコで休暇を過ごしていた元CIAの男は、前作で殺した男の父親の一味に拉致されてしまう。
シリーズ第2作。原題は「Taken 2」。91分。
感想
主人公は、前作で殺した男の父親とその一味に襲撃される。たとえ悪人であろうと人の子で、殺されれば復讐を誓う親もいる。映画で復讐といえば、主人公が行なう側であることがほとんどだが、この映画では主人公が狙われる側で、しかも前作の彼から見たらハッピーエンドの出来事に対する復讐物語になっているのが興味深い。
ちなみに今回は、タイトルの「96時間」は全く関係がない。そもそも原題を直訳した邦題ではなく、前作では悪くない邦題だったのだが、今作では全くそぐわないものになってしまった。だが、別の邦題をつけてしまうと続編だと分からなくなってしまうので難しいところではある。
主人公は危機を察して、元妻と娘を安全な場所に逃がそうとするも失敗し、今回は彼が元妻と共に拉致されてしまう。ここで活躍するのが娘だ。最初は巻き込みたくないと主人公は拒絶するのだが、娘の熱意に負けて協力を頼んでしまう。これは娘に甘い、の範疇に入るのだろうか。
その後の、試験に数回落ちてまだ無免許の娘の運転で行われるカーアクションも、激しくて見ごたえがあるのだが、その設定に可笑しみがあってどこか微笑ましくもあった。免許取りたての子どもが運転する車に、内心ではビクビクしながらも平気なふりして乗っている親の姿を連想してしまう。
そのカーアクションが、自爆テロかと思うようなアメリカ大使館への強引な突撃で終わるのも無茶苦茶で面白い。しかしこの娘は、軽く説明を受けただけで手投げ弾をバンバンと使い、無免許なのに狭い路地を爆走して頼もしかった。これも父親の血を受け継いでいるからなのだろうか。
クライマックスで主人公は元妻を助け、首謀者と対峙する。復讐の連鎖を防ぐためにここで彼は温情を見せるのだが、前作のような非情ぶりを期待していた自分にとっては、生易しさを感じてしまって物足りないものがあった。
だが前回は緊急事態でモチベーションも高かったが、今回はやられる側で、不意打ちを食らった面倒くささもあるのでつい人間味が出てしまったのだろう。常に冷酷非情では悪役感が出てしまう。
主人公の鬼気迫る迫力は薄くなったが、それでも主人公の有能な活躍ぶりを楽しめる標準以上の娯楽作に仕上がっている。次作ではあまり見せ場のなかった元妻が活躍するのだろうか。
そして、これまで見てきた胸のすくようなアクション映画の主人公たちも、その後、敵の家族や身内ににつけ狙われたりしてはいないだろうかと、ふと心配になってしまう映画でもある。
スタッフ/キャスト
監督 オリヴィエ・メガトン
脚本/製作 リュック・ベッソン
出演 リーアム・ニーソン/マギー・グレイス/ファムケ・ヤンセン/ラデ・シェルベッジア
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次作 シリーズ第3作