★★★★☆
あらすじ
モスラの卵が孵化するのを見守っていた怪獣研究機関モナークの所員たちは、突如テロリスト集団に襲われ、女性学者とその娘が拉致されてしまう。
モンスター・ヴァース第3作目。2014年「GODZILLA ゴジラ」の続編。132分。
感想
各地に巨大怪獣が存在することが明らかになった世界が舞台だ。ゴジラをはじめ、キングギドラ、モスラ、ラドンらが次々と出てくる展開に自然とテンションが上がる。しかも怪獣と恐竜の違いが理解できていないような、全然分かっていなかった以前のハリウッド版怪獣映画からはかなり改善されているので、ストレスがなくていい。クォリティの高い怪獣映画となっている。
ただモスラの扱いには不満がある。卵から浮かした幼虫モスラをいきなり立たせてしまうし、そのまますぐに蛹にしてしまうしで、幼虫時の全貌をしっかりと見せてくれない。そこは芋虫状にうねうねする気持ち悪い姿を存分に見せつけて欲しかった。
そんな幼虫モスラが美しい蝶のような成体となるのがグッと来るところなのに残念だ。しかも成体モスラの造形もいまいちで、ぼんやりとしたデザインとなっている。これをメルヘンで可愛い感じにしておけば、女子人気が出たかもしれないのにと勿体ない。色々と怪獣を出さないといけないので、モスラだけをきっちりと描いていられない、というのはあったかもしれない。
怪獣たちは薄暗い中で体の一部分しか映し出されないことが多かった。怪獣の大きさや畏怖を感じさせるための演出なのだろう。だが一度くらいは白日の下で、くっきりはっきりと怪獣たちの全体像を見たかった。
ストーリーとしては研究機関モナークとテロリストたちの怪獣をめぐる対決となっている。だが両者ともやろうとしていることは同じという気がしないでもない。テロリストたちは次々と怪獣を目覚めさせていったが、それは遅かれ早かれ自然と起きることだったはずだ。
そしてそうなった後の怪獣たちの取り扱いに関する方針は、両者とも、人類との共存を目指す、で同じだ。だからテロリストたちの行動はあまり意味がないように感じてしまった。急がずに自然とそういう事態になるのを待っているだけでよかった。実際、モナークとがっぷり四つで戦うシーンはなく、いつの間にかフェードアウトしてしまった印象だ。
それから戦いの過程で自己犠牲の精神を描くシーンが多かったのも気になった。戦いの中で死んでいく者はたくさんいるのだから、犠牲はそれだけで十分だ。敢えて過剰に描く必要はなかった。神話における生贄や殉教者的な意味を込めていたのだろうか。
ストーリーに気になる点は多々あったが、メジャーな怪獣たちのハリウッド版ならではの迫力満点の戦いが見られただけでもう大満足だ。他はどうでもいいように思えてくる。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 マイケル・ドハティ
出演 カイル・チャンドラー/ヴェラ・ファーミガ/ミリー・ボビー・ブラウン/ブラッドリー・ウィットフォード/サリー・ホーキンス/チャールズ・ダンス/トーマス・ミドルディッチ/アイシャ・ハインズ/オシェア・ジャクソン・Jr/ジョー・モートン/デヴィッド・ストラザーン/アンソニー・ラモス/デヴィッド・ストラザーン/ジョナサン・ハワード/CCH・パウンダー
音楽 ベアー・マクレアリー
関連する作品
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モンスター・ヴァース 前作 シリーズ第2作
モンスター・ヴァース 次作 シリーズ第4作