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「モスラ」 1996

モスラ

★★★★☆

 

あらすじ

 人間によって封印が解かれ、復活してしまったデスギドラと対決するモスラ。平成モスラシリーズ第一作。

 

感想

 ゴジラやガメラが爬虫類ぽいのに対して、モスラは蝶(蛾)がモデルの怪獣だ。カラフルでモフモフしており、モノクロ感のある固そうで強そうなゴジラらと違って親しみ安い。飛ぶ時にキラキラと鱗粉が舞う様子も妖しげで美しく、不思議な小人の姉妹が謎の歌を歌う様子も可愛らしい。ファンタジー感に溢れており、女児受けしそうな世界観だ。キモさと可愛さの間を揺れる感じがいい。

 

 内容は明らかに子供向けなので、シンプルで分かり易い。そもそもモスラとは何?とか、謎の小人の姉妹は何なの?とか、細かい言及はされずにサクサクと進む。一応は環境破壊などに対するメッセージは感じられるが、面倒くさいことはあまり気にせず、ただただ、小人の姉妹のふんわりとした説明を鵜呑みにして見ていればいい。

 

 

 映画のほとんどは、モスラとデスギドラの対決の様子が描かれる。人類側は、自衛隊が出動するでもなく、ただただ見守るだけだ。ほとんどプロレスを見ているような感覚で対決を楽しむことになる。そして、その対決の様子がなかなかの迫力だ。よく出来ていて見入ってしまう。時おり人間の兄妹に話しかけたりするので、観ている子供もなんとなく参加している気分になれるはずだ。

 

 寿命が近く劣勢のモスラを助けるために、映画中盤になると、次世代モスラが卵から孵って参戦する。いわゆる芋虫型の幼虫モスラだ。冷静に考えると、薄汚れたような茶色の体にニチャニチャと音がするキモい動き、噛まれると変な色の体液が出てくる不気味で巨大な芋虫を応援するなんてどうかしている。でもそれができてしまうのは、この後変態して可愛い蛾の姿になると知っているからだろう。そしてそんな幼虫モスラも、なんとなく観ているうちにキモ可愛く思えてくるから不思議だ。やっぱりどうかしている。

 

 対決シーンもそうだが、全体的に特撮シーンがよく出来ていて、それを堪能するだけでも十分な満足感がある。特に海上の幼虫や成体のモスラの様子は、壮大なスケール感があって美しい。ところで、あの幼虫モスラの泳ぎはバタフライなのだろうか。

 

 それにしても「モスラ」というのは何体もいるのに、そのどれもを「モスラ」と呼ぶのは相当雑だ。それぞれに名前を付けてあげればいいのにと思ってしまった。飼っている犬を「犬」と呼んでいるようなものだ。シンプルさを保つためには仕方がないのかもしれないが。

 

 モスラをたまたま昆虫ぽい謎の怪獣、デスギドラをたまたま爬虫類ぽい謎の怪獣とする暗黙の了解で話が進んでいるのに、「昆虫が爬虫類に勝てるの?」と身も蓋もない事を言ってしまう母親のセリフが面白かった。

 

スタッフ/キャスト

監督 米田興弘

 

原案 田中友幸

 

出演 小林恵/山口紗弥加/羽野晶紀/二見一樹/藤沢麻弥/萩原流行/田中ひろ子/荒川強啓/寺尾聰/大寶智子/須藤真里子/高橋ひとみ/梨本謙次郎

 

モスラ

モスラ

  • 小林恵
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モスラ (1996年の映画) - Wikipedia

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