★★★★☆
あらすじ
次第に強さを増していく海底から現れる怪獣たちに立ち向かう巨大ロボット。
感想
映画内で怪獣を「KAIJU(カイジュー)」と呼んでいる事からも分かるが、日本のロボットアニメや怪獣映画への愛を感じる作品だ。映画の中には、かつて見てきたそれら日本のアニメや映画を想起させるシーンが散りばめられている。怪獣が海底から現れるのもゴジラっぽい。
特にこの映画が分かっている、と感じるのは、ロボットの描き方だ。ロボットの巨大さを感じさせるような構図でちゃんと撮っていて、巨大な鉄の塊が動くというロマンがちゃんと伝わってくる。 ハリウッドだとこの辺が良く分かっていなくて、すぐにスピード感を出そうとしたりする。そうじゃなくて、ドシン、ドシンと歩くのが良いのだ。
そういう意味では、ハリウッドでちゃんと分っている映画が作られたという事は感慨深い。本当は日本がこれをやって欲しかったというのはあるが、日本のSFアニメや特撮映画が世界に影響を与え続けて、世界中に良き理解者が増えた結果、ついにその一人がハリウッドで撮ることができた、という事なので、これはこれで喜ばしいことだ。
ロボットが二人で動く仕組みや、菊地凛子演じるミステリアスな謎の女性キャラの存在、厳格な司令官の素顔など、物語を面白くする要素がちゃんと詰まっていて、そして上手くまとまっている。ラストも良かったが、これは地球と異世界をつなぐ通路を破壊したところでまた作り直されれるだけかも、と思わなくもなかった。
うんうん、そうそう、よしよし、などとと頷きながら、ニコニコしながら観てしまうような映画だ。観終わった後にみんなで、あのシーンはあのアニメの引用かな?みたいな会話も弾みそうだ。
ただ、上手くまとまった良い映画ではあるのだが、物足りなさがないわけでもない。パイロットそれぞれの物語やメカニック、科学者たちそれぞれの事ももっと知りたいし、ロボットたちにももっと活躍して欲しかったと思ってしまう。でも、そうすると時間が足りなくなってしまう。そう考えると、こういう巨大ロボットの物語は、2時間の映画では扱いにくい題材なのかもしれない。そういえば、人間が乗り込む人型巨大ロボットの映画というのはほとんどない。
巨大ロボットは、たくさんの人物が関わる事になるので、どうしても群像劇となる。そして限られた時間では、それを描くのが中途半端になってしまって、どこかに物足りなさが残ってしまう。続編が作られるほどヒットしたのは確かだが、空前の大ヒットとまではいかなかったのは、そのせいもあるかもしれない。
皆が満足するものにするには、今だとネットフリックスの様な所が、ドラマシリーズとして作るのがいいのかもしれない。勿論、映画館の大きなスクリーンで観たい、というのはあるのだが。それに、それだったら予算的にアニメで良くない?となってしまいそうでもある。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ギレルモ・デル・トロ
出演 チャーリー・ハナム/菊地凛子/イドリス・エルバ/チャーリー・デイ/バーン・ゴーマン/クリフトン・コリンズ・Jr/ロバート・カジンスキー/マックス・マーティーニ/ロバート・マイエ/ディエゴ・クラテンホフ/ロン・パールマン/芦田愛菜
撮影 ギレルモ・ナヴァロ
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